1999 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣摘出によるラット歯根膜腔内の破骨細胞様細胞群の変化
Project/Area Number |
10771091
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川本 真一郎 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70295260)
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Keywords | 歯根膜 / 歯槽骨 / 破骨細胞 / エストロゲン |
Research Abstract |
雌性Wistarラットに、卵巣摘出術(OVX)あるいはその偽手術(Sh)を行った。同時に浸透圧ポンプを埋入し、17-β estradiol(E2)あるいは溶媒液(ve)を投与した。すなわち、第1群(OVX+ve)、第2群(Sh+ve)および第3群(OVX+E2)のいずれかに動物を配分した。各群、術後7日目と14日目に灌流固定を行い、下顎骨を採取した。下顎骨は、脱灰後、パラフィンおよび水溶性樹脂に包理し、それぞれ第1臼歯部における薄切片を作製した。これらを用いて、歯根膜腔における破骨細胞系細胞の数を、酵素組織化学的、免疫組織化学的手法により観察した。 <酵素組織化学> 酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)の検出を行った。TRAP陽性細胞のうち、骨表面から離れて歯根膜内に局在する単核細胞(前破骨細胞)数と、骨表面に接している細胞(破骨細胞)数をそれぞれ計測すると、動物群間で差が認められた。術後7日における前破骨細胞数は、第1群において、他群に比べて統計学的に有意に多かった。破骨細胞数には各群間に有意差は認められなかった。術後14日においては、前破骨細胞数、破骨細胞数ともに各群間に有意差は認められなかった。第1群において術後7日と14日とで比較すると、破骨細胞数は7日よりも14日の方が有意に多かった。 <免疫組織化学> cathepsin KとED1に対する抗体を用いて二重染色を行うと、両者に陽性の細胞とED1のみに陽性の細胞があり、後者の数には各群間で有意差は認められなかった。 本研究により、OVXによって歯根膜腔における破骨細胞形成が誘導されることが示され、その機構として、歯根膜中に既存の前駆細胞群の分化過程が変化するのではなく、全身的に増大した造血系細胞群(CFU-GM)が血管を通じてより多く供給されることにより破骨細胞への分化誘導の量的変化が生じたことが推察された。
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