1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771094
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
有田 正博 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (50184289)
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Keywords | 全部床義歯 / 咬合力 / 咬合バランス / 臨床的評価 / 咀嚼能力 |
Research Abstract |
九州歯科大学付属病院補綴科において上下全部床義歯を製作・装着し,3ヶ月以上経過した患者で,本研究に対して同意の得られた上下全部無歯顎患者を被験者(7名)とした.各被験者に対して計測項目に従った計測を行った.現在までに得られたデータをもとに,咬合力と全部床義歯の機能的評価因子(義歯の維持安定性,顎堤形状,咬合バランス,咀嚼能力さらに義歯に対する患者の総合的な満足度など)との関連性について検討し,以下の傾向が認められた. 1. 患者の性別,年齢,義歯の装着期間と咬合力の間に相関性は認められなかった. 2. ほとんどの症例では,上顎全部床義歯の維持力および上下顎全部床義歯の安定性が良好であるほど,大きな咬合力を示す傾向が認められたが,逆の症例も認められた. 3. 左右臼歯部の咬合力値が大きい症例ほど,空口時(中心咬合位)での咬合力は高かったが,左右の咬合力バランスの良否と咬合力の間に相関性は認められなかった.習慣性咀嚼側の咬合力は,比較的大きい傾向があった. 4. 上下顎顎堤吸収度と咬合力の間に相関性は認められなかった.顎堤形状の左右差の明らかな症例では,それに呼応して咬合力の左右差が認められた. 5. ほとんどの症例で咬合力が大きいほど咀嚼能力は高い傾向が認めらたが,逆の症例も認められた. 6. 上下顎義歯についての患者の主観的満足度が高い症例ほど,咬合力は大きい傾向が認められた. 7. 咬合力や咀嚼能力は,総じて患者自身の義歯を使用する巧みさを反映していると思われる. 今後さらに症例数を増やし,次年度では各因子の相互関係について詳細に検討していく予定である.
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