1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771099
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岩佐 文則 昭和大学, 歯学部, 助手 (60297025)
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Keywords | 細胞接着 / β1インテグリン / 蛍光二重染色 / リン酸化チロシン / 歯肉線維芽細胞 / ビンキュリン / インプラント / 生体親和性 |
Research Abstract |
本研究の目的はインプラントの長期予後にとって重要な因子となるインプラント材料と歯肉結合組織との接着及び親和性について生物学的に解明することにある。 形態学的な観察では、β1インテグリン及びビンキュリンの局在を検索したが、蛍光二重染色により接着斑のマーカーとして染色したピンキュリンとβ1インテグリンとの局在がほぼ一致した。それらは細胞周辺部に集中し、更に蛍光強度の大きい部分が点在していた。この結果、β1インテグリンが多数会合していることが想定された。さらに抗フォスフォチロシン抗体を用いてその発現部位を観察したところ、リン酸化チロシンの発現が接着斑の付近で確認することができた。つまり接着斑を介して細胞内外へのシグナルの伝達が起こっている可能性が確認できた。さらに位相差顕微鏡での観察では、ディスクでは培養した細胞が多数の細胞突起を有し、隣接する細胞と密な結合を示し、凝集塊を形成していた。一方、対照群である組織培養用ディッシュ上では細胞は紡錘形を呈し伸展していたが、細胞突起は少なかった。またチタン上培養では浮遊凝集塊も多く認められた。 生化学的な観察では、細胞内リン酸化チロシンの発現を抗フォスフォチロシン抗体を用いたイムノブロッティング法により検索し、接着細胞には非接着細胞には見られないリン酸化蛋白質の発現が124kD付近に確認できた。さらにチタン上でのチロシンリン酸化タンパクの発現量は対照群である培養ディッシュと比較してバンド濃度ではやや下回る結果となったが、総タンパク量を考慮するとほぼ同等に近い発現が見られた。 これまでの結果からチタン上培養ではインテグリンの発現及び細胞内情報伝達を行うチロシンリン酸化反応が起こり、細胞内伝達機構が正常に作用していることが示唆された。
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