1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎位変化に伴うソフトティッシュ変化率の3次元定量化に関する研究
Project/Area Number |
10771112
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
高橋 一也 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (10236268)
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Keywords | 軟組織変化率 / 3次元計測 / 顎位変化 |
Research Abstract |
咬合高径の設定ミスによる顔貌への影響は臨床的には鼻下点オトガイ間の変化,口唇,口角部に表れると言われているが定量的研究はなされていない.そこで,有歯顎者の被験者で実験的に顎位を変化させ,それに対応する口唇の形態および顔貌のソフトティッシュを非接触型3次元曲面形状計測装置を用いて測定分析し,以下の結果を得た. 顎位の前方への移動によって,下唇から下方の軟組織が前方へ移動していた.移動量は正中部の下唇の下方10mm付近が最も前方へ移動していた.軟組織移動量は正中から左右側に向かうに従い小さくなっていた.また,顎位移動量が大きくなるにしたがい,軟組織移動量も大きくなっていた. 顎位の側方への移動によって,移動側と同側の下唇から下方の軟組織が前方へ移動していた.移動量は移動側の口角部下方10mm付近が最も前方へ移動していた.正中部から反対側にかけてはほとんど移動していなかった.顎位の移動量が大きくなるにしたがい,軟組織移動量も大きくなる傾向が認められた.顎位の前方移動と側方移動を比べると側方移動時の軟組織移動量の方が大きい傾向が認められた. 左右側上唇の体積は,すべての顎位の移動でほとんど変化しなかった.左右側下唇の体積は,顎位の側方移動において移動側で増加し,対側ではほとんど変化しなかった.顎位の前方移動においては,両側とも体積は増加していた.また,顎位の移動量が大きくなるにしたがい体積も増加していた. 以上のことから考えると,顎位の変化では上唇より上方の軟組織はほとんど変化せず,下唇より下方10mm程度の軟組織が著明に変化することが推察される.
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