1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節部疼痛に起因する筋硬直または筋性疼痛発生の加齢的変化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
10771122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
瀬尾 憲司 新潟大学, 歯学部附属病院, 助教授 (40242440)
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Keywords | Electromyograph / Mustard oil / Adult / GABA_B / 5-HT_3 / Temporomandibular joint / intrathecal / trigeminal |
Research Abstract |
三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)は顎顔面領域の痛覚の中継核であり、C線維刺激性の催炎性物質であるマスタードオイルの顎関節内注入による咬筋、顎二腹筋の筋電図(EMG)活動増加反応は中継され、また同部位にてGABA_A受容体を介した下行性の抑制が作動していることが申請者の今までの研究によって明らかにされている。一方、Vcに作動する下降性抑制系にはOpiate受容体、GAGA受容体または5-HT受容体が作動していることが知られている。GABA受容体にはGABA_AとGABA_Bのサブタイプがあり、セロトニン受容体では5-HT_3受容体が抑制系に関与している可能性が示唆されている。そこで加齢的な変化の検討を行う前に、成熟ラットにおける疼痛反応としての筋電図反応をまとめた。 実験には成熟雄S-D系ラット24匹を用い、コントロール群(n=8)とGABA_B群(n=8)、5-HT_3群(n=8)の3群に分けた。ハロセン麻酔下に麻酔導入を行い気管切開の後、笑気・酸素・低濃度ハロセンにて人工呼吸を維持した.後頭骨後縁より先端がVc付近に位置するようにポリエチレンチューブ(PE-10)を挿入し、各種の薬物の注入用にハミルトンのシリンジに接続した。ワイヤー電極を唆筋と顎二腹筋に挿入してEMG活動を連続的に記録し、コンピュータに取り込み分析した。記録は始めに10分間の筋活動の安静状態をとり、その後コントロール群ではPE-10からなにも注入せず、GABAB群ではsaclofenを4μg、5-HT_3群では2-methyl-5HTを100μg投与した後に、マスタードオイルを顎関節内に投与した。そしてこれらの注入後30分間、EMG活動の変化を記録した。 その結果、GABA_B群では筋電図活動の増加において明らかな影響を受けなかったのに対し、セロトニン系では明らかな抑制効果が認められた。 以上により三叉神経系ではC線維の刺激によって生じた反射性のEMG増加現象では、GABA_B受容体を介した抑制系は大きな抑制効果を有しないのに対し、セロトニン系は抑制効果を有することが明らかになった。現在は4週のラットを用いてこれらの変化について検討を行っている。
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