1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長因子を応用した難治性口腔粘膜疾患治療法の開発についての研究
Project/Area Number |
10771135
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤澤 健司 徳島大学, 歯学部, 助手 (40228979)
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Keywords | 難治性口腔粘膜疾患 / 酢酸 / 潰瘍 / 治癒遅延モデル / EGF / bFGF |
Research Abstract |
1. 酢酸あるいは水酸化ナトリウムを浸した濾紙を、ウサギの口腔粘膜に一定時間圧接し、化学的損傷により、ほぼ同様な治癒過程をたどる均一な潰瘍を形成した。口腔乾燥状態および癌化学療法を想定して、潰瘍形成前に、ウサギにそれぞれ顎下腺摘出、抗癌剤投与の処理を施したところ、酢酸で形成した潰瘍は治癒が遅延した。水酸化ナトリウムで形成した潰瘍の治癒遅延は明らかではなかった。したがって、顎下腺摘出、抗癌剤投与後にウサギ口腔粘膜に酢酸で形成した潰瘍は、治癒遅延モデルとして有用であることが明らかとなった。 2. 口腔乾燥状態を想定した治癒遅延モデルにヒトEpidermal Growth Factor(EGF)、ヒトRecombinant Basic Fibroblast Growth Factor(bFGF)を家兎耳介静脈より投与すると、コントロールと比較して投与早期ではほとんど差がみられないが、投与後期になると潰瘍の大きさの縮小が認められ、治癒に要する時間の短縮がみられた。これはEGF投与よりもbFGF投与のほうが効果が著明であった。また、組織学的にもEGF、bFGF投与により上皮の連続性回復の短縮が認められた。 3. 癌化学療法を想定した治癒遅延モデルにbFGFを潰瘍部に局所投与すると投与後早期からコントロールに比べて潰瘍の大きさの縮小がみられ、その後コントロールとの差が小さくなるが、治癒に要する期間の短縮がみられた。また、組織学的にも上皮の連続性回復の短縮が認められた。EGFの効果は明らかではなかった。
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