1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771136
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
栢原 浩彰 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (50263942)
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Keywords | LOH / 口腔扁平上皮癌 / Microsatellite instability / VHL遺伝子 |
Research Abstract |
癌は前癌病変から転移、浸潤能をもつ癌細胞へ多段階的に進行することが知られ、各段階は細胞内に順次積していく遺伝子異常に対応していると考えられている。そこで、口腔粘膜異型上皮(OEDL)35例を対象としたLOHを検出し、3p領域の欠失(LOH)が癌化の初期に起こるか検討した。異型上皮においてLOHががみられた症例は7例で、全体の20%を占めていた。口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるLOHの発現と比較すると、OEDLのLOHの発現は明らかに少なかった。3p21.1-p14.2と3pter-p24.2の領域のLOHにおいてはOSCCとOEDLの間に有意差を認めたため、3p21.1-p14.2と3pter-p24.2のLOHは癌化のearly eventではないことが示された。また、3p末端(3pter-p24.2)領域には、局所浸潤あるいはリンパ節転移に関係のある癌関連遺伝子の存在が平成10年度の研究において明らかになったが、3p末端にはVHL(von Hippel-Lindau disease)遺伝子が3p25に位置している。そこで、口腔癌へのVHL遺伝子の関与があるか、PCR-RFLP解析にてVHL遺伝子の欠失が口腔癌で起こるか検討した。VHL遺伝子の多型(A/G)をもつ17例のOSCCのうち、口腔癌DNAにおいてVHL遺伝子の欠失は1例も認められず、口腔癌とVHL遺伝子の関連は否定された。また、Microsatellite instability(MSI)はDNAミスマッチ修復遺伝子異常によって認められる現象であり、OSCCとOEDLにおいてMSIを検討した。3p領域のMSIの頻度は低く、口腔癌の発生、進展に対するDNAミスマッチ修復機構異常の関与は少ないと思われた。
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