1998 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症におけるてんかんの既往と歯科的疾患との関連
Project/Area Number |
10771177
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋山 茂久 大阪大学, 歯学部・付属病院, 助手 (00283797)
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Keywords | Down症候群 / てんかん / アルツハイマー病 / 精神発達遅滞 / 疫学調査 |
Research Abstract |
精神遅滞者のてんかんの合併率は,健常者と比較して非常に高いとされているが,精神遅滞を伴う代表的な染色体異常であるダウン症では,その合併率はこれまでは極めて低いとされてきた.近年の保健・医療の進歩と拡大により,ダウン症の生命予後は著しく向上し,アルツハイマー型脳病変の早期発現が話題になっており,てんかんの発症原因の一つとも考えられる.このような背景のもと,ダウン症のてんかんの既往と口腔疾患,歯科保健との関連を探ることを目的に,質問票調査,歯科検診および細菌学的検索を行った. その結果,てんかん既往の有無の判明したダウン症児・者約600人のうち約8%にてんかんの既往があった.各年代別の既往率をみると,10歳未満が2%と最も低く,10歳代で5%,20歳代では17%,30歳代では19%となっていた.また40歳代では9%と低くなっていたが,50歳以上では20%にてんかんの既往が認められた.特に50歳以上のてんかん既往率は,ダウン症の方がその他の知的障害者より高かった.このことによりダウン症におけるてんかんの発症と年齢とは密接に関係していることがわかった.性別の既往では,男性は7.0%に,また女性は8.7%に既往があった.歯科的な問題では歯列不正,う蝕および歯周疾患が多く見られ,全顎にわたって歯肉肥大を発現していた例も見られた. 近年の研究によって,アルツハイマー病の脳に沈着するアミロイドの遺伝子は,21番目の染色体に存在するとされている.そのアミロイドの脳内沈着が,ダウン症では健常者に比べて約50年も早く起こり,アルツハイマー病を合併したダウン症では遅発性てんかんが発症するとされている.ダウン症児・者の療育や医療ケアおいては,筋の低緊張,感染症,皮膚・眼・耳鼻科や歯科疾患に注目されてきたが,てんかんも重要な医療ケアに1つであると考えられる.
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