Research Abstract |
齲蝕の効果的なスクリーニングを行うために,これまで種々の齲蝕活動性試験が考案され,その有用性について報告されてきたが,いずれもその実験条件が異なり一概に比較することが難しい。そこで本研究では,個々の齲蝕活動性試験の現在の口腔内状態との相関性,および齲蝕発生に対する予測能を経年的に同一条件下で比較,検討した。 平成10年度は,本研究の主旨に保護者の同意が得られた3〜5歳の保育園児118人を対象に,口腔内検診,3種の市販の齲蝕活動性試験(カリオスタット試験,デントカルトSM,デントカルトLB)を実施した。分析方法は,口腔内検診結果より,総齲蝕経験歯数(dmft)と齲蝕重症度指数(CSI)を算出し,スピアマンの順位相関を用いて,各齲蝕活動性試験結果の現症との相関性を検討した。結果,対象児の話蝕罹患者率は74.6%,一人平均dmftは4.79本であった。カリオスタットの分布は,1.5以下のローリスク群は53.4%,2.0以上のハイリスク群は46.6%,平均カリオスタット値は1.63であった。デントカルトSMの分布は,S.msutans数が10/mlより少なくクラス0,1が68.6%,10/mlより多いクラス3は5.1%であった。デントカルトLBの分布は, lactobacillu検出されなかった者は,12.7%,10/ml以下の者は53.4%,10/ml以上の者は11.9%であった。相関分析より,カリオスタット,デントカルトSM,デントカルトLBはともに,dmftと高度の相関を示した(r=.426,r:.471,r=.456,p<.001)。また,現在の齲蝕重症度を反映するCSIとも高度の相関を示した(r=.400,r=.466,r=.421,p<.001)。このことより,今回用いた3種の齲蝕活動性試験は,齲蝕の現症に対するスクリーニング能力を有していることが示された。
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