1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771182
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 圭介 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40229886)
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Keywords | 咀嚼筋 / 筋電図 / 左右差 / 顎関節内障 / 顎変形症 / 咬筋 / 側頭筋 / 長時間記録 |
Research Abstract |
顎関節円板の位置異常や下顎頭の変形ならびに吸収と、顎顔面の非対称の出現には密接な関係があることが多くの臨床研究によって示唆されている。本研究では、顎顔面の非対称を有する顎変形症患者を対象として、平常生活時における咬筋および側頭筋前腹の筋活動を長時間にわたって記録し、その活動様相ならびに左右差を詳細に解明することとした。 平成10年度に、新たに考案した筋活動解析方法が、電極の貼付位置の影響を最小限にし、十分に長時間記録の再現性を有することを確認した。この筋活動解析方法では、得られた筋活動の積分値を98Nの咬合力が1秒間作用したときの活動量によって基準化した。さらに、各計測値について右側の値から左側の値を引いたものと両側の合計値との比からasymmetry index(AI)を算出した。 平成11年度には、15人の顎変形症患者と15人の対照者において、日中(142分、食事時間も含む)と睡眠時(142分)の長時間筋活動を記録し、それぞれ両側の咬筋および側頭筋前腹から得られたAIを比較した。 1.患者群の基準化した筋活動量は、咬筋ではすべての期間で、側頭筋では日中において、対照群より有意に低い値を示した。 2.患者群のAIは、対照群と比較して、咬筋では睡眠時に有意に小さく、側頭筋では日中と睡眠時に有意に大きな値を示した。 3.患者群と対照群の歯の接触面積と顎顔面形態の計測値には有意差が認められたが、両者とAIとの間には有意な相関関係は認められなかった。 以上のことから、顎変形症患者では、特に側頭筋前腹の筋活動の左右差が食事時間帯を除いた他の平常時や睡眠時において大きいことが明らかとなった。しかし、咀嚼筋活動の左右差ならびに歯の接触状態と骨格的不正との間に直接的な関連は認められず、咬合干渉や下顎位の不安定などがmultifactorialに顎顔面の変形、顎関節内障の発症に関わっていることが示唆された。
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