1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体親和性材料コラーゲンによる象牙細管閉鎖法への応用
Project/Area Number |
10771189
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
釜崎 陽子 長崎大学, 歯学部, 助手 (30253678)
|
Keywords | コラーゲン / 象牙質透過性 / 走査型電子顕微鏡 / 歯髄内圧 / 象牙細管封鎖 |
Research Abstract |
生体親和性材料コラーゲンによる象牙細管閉鎖法への応用について研究を行い本材による象牙質表面の被覆,象牙質透過性の抑制の効果について検討を行った。その結果以下の知見を得た。 1. 10%リン酸処理により象牙細管を開口させた牛永久歯象牙質表面に対し0.3%I型コラーゲン混合溶液を応用(37℃,1分間)し,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて象牙質表面微細構造の形態学的検索を行った。その結果,象牙質表層はほぼ全面的に一層の膜様構造物によって被われており,象牙細管の開口部が封鎖されていることが観察された。しかし一部には封鎖状態の不良な部分も認められたため,応用方法を検討することにより,より完全な封鎖が期待できると思われた。 2. 象牙質にコラーゲン処理を施した場合の象牙質透過性の評価を歯髄内圧下に行った。歯髄内液を1%牛血清アルブミン含有リン酸緩衝液を用い再現し,25mmHgの圧力を負荷し,象牙質表面に浸出してくる牛血清アルブミンをローリー法で定量した。その結果,リン酸処理後コラーゲン溶液処理を行った象牙質試料は,リン酸処理のみ行った試料と比較して象牙質透過性が有意に抑制されていた(p<0.01)。以上により象牙細管の封鎖および象牙質透過性の抑制を目的とした,コラーゲンの象牙質への応用の可能性が示唆され,特に外来性の何らかの刺激によって生じる急激な細管内液の移動を抑制するという意味から,本法は,この効果を持続させうることを前提に象牙質知覚過敏症の治療法として発展させることが期待できると考えられた。今後は,コラーゲン混合溶液の応用法に検討を加え,本法による象牙細管封鎖効果を改良し,かつ,この安定性についての確認を行う予定である。さらに,レジン系材料の象牙質に対する接着性にどのように影響するかについての確認も必要であろうと考えている。
|