1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771210
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
鬼木 泰久 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (90279315)
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Keywords | 固定源 / ポリ乳酸 / インプラント / 歯牙移動 / 生体吸収性 |
Research Abstract |
生体材料の進歩に伴い、チタン製インプラントを歯の移動の固定源として応用した臨床的並びに基礎的報告がみられ、インプラントを固定源とした矯正歯科治療の有効性が示されている。しかし歯を移動させた後、チタン製インプラントは除去されることになるが、それに伴い歯槽骨や顎骨に骨の欠損が生じる。一方、生体に対して為害作用がないと言われてきたチタン製インプラントやプレートの長期使用に伴う生体組織への溶出が報告されている。これらのことから矯正歯科領域ではチタンに変わり生体吸収性で、組織に為害作用がなく、適度な強度を持ち、一定治療期間固定源として利用できる新しいインプラント材の開発が重要である。 本研究では、平成10年度にポリ乳酸(分子量:60,000)とリパーゼを混合し、直径4mm、厚さ1mmのディスクを作製し、ラット背部皮下に埋入し組織反応を病理組織学的に検討した。結果、周囲組織の炎症反応などの所見は認められず、生体への為害作用は認められなかった。 本年は、ポリ乳酸とリパーゼの混合物とハイドロキシアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト(FAP)との試作型生体吸収性インプラント材の円柱ブロックを作製し、ラット頸骨内に埋入しインプラント材の吸収性と骨の修復を理工学的、病理組織学的に検討し、次の結果を得た。 1.ポリ乳酸(分子量:60,000)とリパーゼの混合物とHAP、FAPとの試作生体吸収性インプラント材を作製した。その試作生体吸収性インプラント材を用いて、1x1mm、の円柱状ブロックを作製し、ラット頸骨に埋入し、病理組織学的に検討した。試作生体吸収性インプラント材は時間の経過とともに徐々に吸収された。また、周囲骨においては為害作用も認められず、骨の新生による修復が速やかに認められた。この結果から、試作生体吸収性インプラント材は生体吸収性インプラントの材料として有効であることが示唆された。
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