1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織再生における増殖因子の作用機構に関する研究
Project/Area Number |
10771214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池澤 一彦 大阪大学, 歯学部, 助手 (80294114)
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Keywords | 歯周組織 / 組織再生 / 歯根膜細胞 / IGF-I / 遺伝子導入 / 増殖分化機構 / bFGF / アルカリフォスファターゼ活性 |
Research Abstract |
1.マウス歯根膜由来細胞は、これまでに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)存在下でクローニングされた29細胞株の中から、最も高いアルカリフォスファターゼ活性を有する細胞株をスクリーニングし、MPDL-22として用いた。2.ヒト歯根膜由来細胞から、Reverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法にてIGF-IをコードするcDNAを回収し、ネオマイシン耐性遺伝子含有発現ベクターpcINcoに組み込み、プラスミドpclNe01GF-Iを作成した。エレクトロポレーション法にて、pclNeo IGF-IをMPDL-22へ遺伝子導入し、ネオマイシン存在以下で選択培養して細胞株MPDL-22IGF-Iを樹立した。コントロールとして、pclNeoを同様の方法で遺伝子導入した細胞株をMPDL-22pclNeoとして用いた。3.RT-PCR法およびノーザンハイブリダイゼーション法により、MPDL-22 IGF-IがMPDL-22pclNeoに比して有意に高いIGF-I mRNAを発現していることを確認した。培養上清中のIGF-I量の比較及び細胞層中のIGF-I量の比較は、現在ラジオイムノアッセイ及びウエスタン分析により検討中である。4.MPDL-22IGF-Iは、MPDL-22pclNeoに比較して、bFGFによる増殖促進活性が高く、また有意に高いアルカリフォスファターゼ活性を示した。さらにこれらの有意差は、MPDL-22pclNeoに十分量のリコンビナントIGF-Iを添加しても完全に補償されなかった。これらの結果は、MPDL-22の細胞内で生合成されたIGF-Iと培養液中に添加されるIGF-Iとで、その作用機構に差があることを示しており、現在遺伝子導入されたIGF-Iの発現様式及び作用機構について詳細に検討中である。
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