1998 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子存在下における歯根膜線維芽細胞の走化活性と細胞周期の関係
Project/Area Number |
10771217
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
淺原 洋士 徳島大学, 歯学部付属病院, 助手 (30294713)
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Keywords | 歯根膜線維芽細胞 / 細胞周期 / 走化活性 |
Research Abstract |
歯根膜線維芽細胞(PDL)の遊走と増殖に及ぼすFGFの作用を明確にするために,FGF存在下での細胞の増殖と遊走を,細胞周期の観点から調べた。 1. 供試細胞とその培養:PDLは,同一被験者の健常者抜去歯の歯根膜から分離・調製した。細胞の培養はウシ胎児血清を10%の割合に含むDMEMを用い,5%CO_2存在下,37℃で行った。 2. FGF:FGFはrecombinant human aFGF,bFGF,およびKGFを用いた。 3. DNA合成能:[_3H]-チミジンの細胞内への取り込み量を示標としてDNA合成を測定した。 4. 走化能:ボイデンチャンバーの変法を用いて測定した。 5. 細胞周期の判定:細胞がいずれの細胞周期にあるかを以下の方法で調べた。 1) DNA合成期(S期):ブロモデオキシウリジン(BrdU)を取り込ませ,BrdU Labeling and Detection Kitを用いて核が濃染した細胞をS期の細胞とした。 2) 有糸分裂期(M期):アセトカルミンで染色し,分裂像の見られる細胞をM期の細胞とした。 3) 静止期(Go期):c-fosおよびc-mycのmRNAをin situハイブリダイゼーション法によって検出し,それらを発現していない細胞をG_0期の細胞,発現している細胞をG_0期以外の細胞とした。 【結果】 1. DNA合成に及ぼすFGFの影響:PDLのDNA合成は,aFGFおよびbFGFに対して0.1〜10ng/mlの範囲で濃度依存的に促進された。KGFには影響を受けなかった。 2. FGFに対するPDLの走化性:PDLのFGFに対する走化性は,供試したいずれのFGFに対しても0.1〜100ng/mlの範囲で濃度依存的に増した。 3. PDLのFGFに対する遊走と細胞周期:FGFに対して遊走していない細胞の中にはS期,M期およびG_0期の細胞があるが,遊走した細胞にはそれらの時期の細胞はなかった。
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