1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎患者の歯肉溝滲出液中トロンボモジュリンの臨床的意義
Project/Area Number |
10771220
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松山 孝司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40253900)
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Keywords | トロンボモジュリン / 歯肉溝滲出液 / 歯周炎 / ELISA |
Research Abstract |
トロンボモジュリン(TM)は本来、内皮細胞の膜表面に存在しトロンビンと結合することによりトロンビンの向凝固機能を抗凝固機能へと変換させる糖蛋白である。このTMが歯肉組織において血管内皮はもちろんのこと歯肉上皮細胞の膜表面においても発現している。歯周炎患者でTMがどのように関わっているのかを調べるため、歯周炎患者の治療前の歯肉溝滲出液中TMを検討したところ、歯肉炎症のみられたところでは、有意に高い値で検出され、これまでの研究で歯周病の病態に関わりがある可能性が示唆された。そこで今回、歯周治療前後(スケーリング & ルートプレーニング前後)の歯肉溝滲出液中TM濃度の変化を調べることによりTMが炎症のマーカーとなりうるかを検討した。 歯周炎患者11人の治療前GI>1の4mm≦probing depth≦5mm(N=7),problng depth≧6mm(N=12)の歯肉溝浸出液を採取し,-80℃で保存。プラークコントロール、スケーリングルートプレーニング処置を施した後、同部位の歯肉溝浸出液を再び採取し-80℃で保存。TM濃度が治療後にどのように変化するか比較,検討した。治療前、4mm≦problng depth≦5mmでTM (256.0ng/μl)probing depth≧6mmでTM(248,4ng/μl)が検出された。治療前の4mm≦probing depth≦5mm,probing depth≧6mm)の歯肉溝滲出液中TM濃度に比べ、治療後では、ポケットの減少に依存せず歯肉の炎症の軽減に依存して両者とも1/5量まで有意に減少を示した。 本研究の結果より,歯肉溝滲出液中のTMは歯肉の炎症状態と密接な関係にあることが示唆された。しかし、TMは酵素ではないため、TMが歯肉溝滲出液中に多く出現することが炎症にどのように関わってくるのかin vivo,in vitroでのさらなる研究が必要である。
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