1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト線維芽細胞に及ぼすIL-6とIL-6sRの作用およびその作用機序の解析
Project/Area Number |
10771223
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊佐津 克彦 昭和大学, 歯学部, 助手 (20266167)
|
Keywords | 歯周病 / IL-6 / IL-6sR / gp130 |
Research Abstract |
インターロイキンー6(IL-6)は炎症や感染の際に、中心的な役割を持つサイトカインの一つで、多彩な生理活性を有している。我々は以前、主要な歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞(HGF)および歯根膜線維芽細胞(HPLF)が、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α)の刺激により多量のIL-6を産生し、この産生は主としてT細胞が産生するサイトカインであるIL-4、IFN-γやグルココルチコイドにより調節されていることを明らかにしている。また、歯周病局所においてもその局在の増加が認められていることから、歯周病における病態形成への関与が考えられている。現在、IL-6遺伝子の発現調節機構とレセプターを介したIL-6の細胞内シグナル伝達機構が、分子レベルで明らかにされつつあるが、間葉系細胞に及ぼすIL-6とIL-6可溶性レセプター(IL-6sR)の作用は明らかにされていない。そこで今回、HGFとHPLFの機能に対するIL-6とIL-6sRの作用を知ることを目的として以下の研究を行なった。 培養細胞は健康な歯周組織を有する被験者から、承諾を得た上で採取した歯肉片からHGFを、また、矯正治療上抜去した歯の歯根膜片からHPLFをそれぞれout growthさせ、継代培養後、3-5代目の細胞を実験に使用した。 各々の細胞を単独で培養し、confuluent後にrhIL-1βで刺激し全RNAを抽出し、ノーザンプロット法で恒常的なIL-6レセプター(IL-6R)およびgp130のmRNA発現を検討したところ、IL-6RmRNAの発現は認められなかったが、gp130mRNAの発現は認められた。 また、HGFとHPLFを各種濃度のrhIL-6、rhIL-6sRの単独あるいは同時刺激の条件下で培養し、3H-チミジンの取込みでその細胞増殖能を測定したところ、rhIL-6、rhIL-6sR単独では、これらの細胞の細胞増殖能に変化は認められなかったが、rhIL-6、rhIL-6sRの同時刺激により、有意に細胞増殖能の亢進が認められた。
|