1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質の歯周炎病巣成立への関与(とくにリンパ球と歯肉線維芽細胞との接着)
Project/Area Number |
10771227
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 秀一 日本大学, 歯学部, 助手 (50225942)
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Keywords | サブスタンスP / Vasoactive Intestinal Peptide / ソマトスタチン / CGRP / リンパ球 / 細胞接着 / 歯肉線維芽細胞 |
Research Abstract |
前年度の研究結果から,各種神経伝達物質サブスタンスP,VIP,SOM,CGRPがリンパ球がヒト由来歯肉線維芽細胞の接着に対する影響について蛍光二重染色法を用いて検討した。その結果,サブスタンスP,VIP,CGRPを各種濃度で添加したところ歯肉線維芽細胞とリンパ球との接着細胞数が増加した。しかし,SOM刺激では検討したすべての濃度において歯肉線維芽細胞との接着細胞数に変化が認められなかった。 本年度は上記の結果をもとに,ELISA法によって接着細胞数の割合をマイクロプレートリーダーを用いて計測した。サブスタンスP,VIP,CGRP刺激によって接着細胞数は,上記の結果と同様に増加した。しかし,SOM刺激では検討したすべての濃度において細胞接着数に変化は認められなかった。また接着のメカニズムを解明するために,リンパ球の接着分子である,抗VLA-4,抗VLA-5抗体の添加による接着細胞数の抑制効果を検討した。抗VLA-4,抗VLA-5抗体の添加によって,サブスタンP,VIP,CGRP刺激によるリンパ球と歯肉線維芽細胞との接着は抑制された。 以上のことから神経伝達物質であるサブスタンP,VIP,CGRPは炎症巣においてリンパ球と宿主細胞である歯肉線維芽細胞との接着に影響を与えることが明らかとなった。つまり,局所に浸潤したリンパ球と神経伝達物質を介した反応が歯周炎の病巣の形成に関与していることが示唆された。
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