1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規発がん抑制剤の開発を志向したサブタイプ選択的プロテインキナーゼ 阻害剤の開発
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10771239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
魚津 公一郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10282609)
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Keywords | ホルボールエステル / 発ガンプロモーター / ハイブリッド分子 |
Research Abstract |
プロテインキナーゼC選択的阻害剤として設計されたホルボールエステル-ホスファチジルセリンハイブリッド分子について、構造の最適化を行うことを検討した。これまでの検討から、ホルボールエステル-ホスファチジルセリンハイブリッド分子に関して、改善が必要な点として、パーシャルアゴニスト性を抑制することが挙げられる。通常のホルボールエステルがPKCのアゴニストとして働くためには、疎水性側鎖を必要とする。この疎水性側鎖による疎水的相互作用をなくすことにより、アゴニストとしての活性を抑制し、アンタゴニスト(阻害剤)として働くという考えのもと本化合物はデザインされた。その結果、期待したようにアゴニスト活性は迎えられることができたが、完全には消失しなかった。この理由として、本分子がリンカー部に疎水性を残していることが挙げられる。そこで、このリンカー部の疎水性を低下させることを計画した。具体的にはリンカー部にペプチド結合を導入した化合物をデザインした。グリセロール部位はこれまでと同様の方法で合成し、リンカー部はグリシンを縮合させることにより合成した。合成したリンカー部をグリセロール部の2位水酸基に導入し、アミダイト法によりリン酸基、セリン基の導入を行った。これまでの方法で得られたホルボールエステル体とカップリングを行い、脱保護を行うことにより目的物へと導けると考えたが、これまでのところ目的物を得ることは出来ていない。原因としてカップリング前駆体を得るためにリンカー部の脱保護を行うが、脱保護条件にセリン部が不安定であるため脱保護体の収率が悪いこと、脱保護体の極性が高く、有機溶媒への溶解度が低いため取り扱いが困難で生成が困難であることから、脱保護体を高い純度で得ることが困難であることが挙げられる。現在までのところカップリング反応を不純物が存在する状態で行っているため、系が複雑になり、目的物を与えていないと考えられる。今後脱保護条件、および保護基の検討を行うことにより、脱保護体を高い純度で得ることにより、カップリング反応を進行させることが出来るようになると考えている。
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[Publications] Uotsu,K: "Photoaffinity Labeling of PKC isozymes by Phorbol Ester Derivatives"Bioorg.Med.Chem.. 6. 1117-1126 (1998)
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[Publications] Sekine,A: "An efficient-method for the synthesis of versatile intermediates leading to 13 -deoxy-and 9,13-dideoxyphorbols"Tetrahedron Lett.. 41. 509-513 (2000)