1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヘリックス構造の創出:ハイブリッド型ペプチド鎖の設計、合成および機能評価
Project/Area Number |
10771242
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
柴田 哲男 富山医科薬科大学, 薬学部, 講師 (40293302)
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Keywords | アミノ酸 / フッ素 / 含フッ素アミノ酸 / ペプチド / ヘリックス / ハイブリッド / 水素結合 |
Research Abstract |
アミノ酸にフッ素が導入されると,化学的性質やペプチド形成後の配座に大きく影響を与えると予想されるため,このような化合物(フルオロ-α-アミノ酸)は構造化学的視点からのみならず,生体反応研究の基質としても興味が持たれている.そこでまず,ハイブリッド型ペプチドの基本単位として,含フッ素アミノ酸が適当であると考えた.すなわち,ヘリックスを形成する各アミノ酸にフッ素原子を組み込み,新たに生じる水素結合を利用して極めて安定なヘリックス構造を作り出すということである.ところで,アミノ酸分子へのフッ素原子の導入位置については,ヘリックス構造を形成した際にもっとも大きな影響を与えると予想されるアミノ酸のα位,つまり不斉中心とすることにした.しかし,α位にフッ素原子を持つα-アミノ酸は不安定で存在しないことが確認されているので,結果的にその構成単位として含まれた形の含フッ素ジペプチドの合成法を,まず初めに検討することとした. 既知化合物である2-(N-Boc-amino)-4-methyl-1-pentanolの水酸基をアジド基に変換し,アミノ基をさらにBoc化して1-azido-2-(N,N-di-Boc-amino)-4-methylpentaneを合成した.続いてアジド基を還元した後,ただちにBoc化を施して,1-(N-Boc-amino)-2-(N′,N′-di-Boc-amino)-4-methylpentaneへと導いた.このものは,ルテニウム酸化により,収率よく1-(N-Boc-amino)-2-(N′,N´-di-Boc-amino)-4-methyl-1-oxopentaneへと変換することができた.最後にこのものをブロモフルオロ酢酸t-ブチルと縮合させることによって,目的のα-フルオロアミノ酸含有ジペプチドを合成することに成功した.
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[Publications] Y.Takeuchi et al: "chemistry of α-fluoro-α-aminoacids:The first synthesis of α-fluoroglycine-containing dipeptides" Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 46・6. 1062-1064 (1998)
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[Publications] G.Haufe et al.,: "Synthesis of γ-fluoro-α-methyl-α-aminoacids.A new alkylation procedure for esfer imines" Terahedoron. 54・22. 5929-5938 (1998)