1998 Fiscal Year Annual Research Report
チオールの触媒的不斉共役付加反応を契機とする連続不斉点構築法の開拓
Project/Area Number |
10771246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長岡 康夫 京都大学, 薬学研究科, 助手 (90243039)
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Keywords | キラル配位子 / 不斉プロトン化 / 共役付加反応 / チオフェノール / カルバニオン / 炭素求電子剤 / タンデム型反応 / 環化反応 |
Research Abstract |
我々は既にチオフェノールのリチウム塩が我々の開発したキラル配位子の共存下97%に達する不斉収率でαβ一不飽和力ルボニル化合物に共役付加することを見出している。本研究の目的はこのチオフェノールの触媒的不斉共役付加反応を契機として発生するエステルカルボニルα位アニオンの反応特性を連続不斉点構築に展開し、実践的価値のある反応を構築することである。本研究を合理的に遂行するために、本年度はチオフェノールのリチウム塩のαβ一不飽和カルボニル化合物に対する共役付加反応により発生するカルバニオンの寿命、反応性、立体化学の理解を深めることができた。 (1) α位にアルキルもしくはフェニル置換基をもつαβ一不飽和エステルを基質として用いるとチオフェノールの触媒的不斉付加とそれに続くα位プロトン化が非常に高い選択性で進行することが明らかになった。本法の確立により本反応をα位不斉プロトン化へ展開することが可能になった。 (2) β位にチオ基を有するカルボニル化合物のLDA処理により生じるカルバニオンは非常に不安定であり、レトロ-マイケル反応により脱チオ化が容易に起こることが明らかになった。そこでこのカルバニオンを炭素求電子基で即座に補足するタンデム型の反応の開発に着手した。 (3) α位への炭素求電子剤のタンデム型補足反応をTMSチオエーテルを用いることで触媒化することに成功した。さらに本反応の立体選択性を明らかにするために分子内環化反応を行ったところ。比較的高い立体選択性で環化体が得られることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Nagaoka: "The Conjugate Addition-Aldol Tandem Reaction of α,β-Unsaturated Esters Catalyzed by Lithium Benzenethiolate" Tetrahedron Lett.40. 1509-1512 (1999)
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[Publications] Y.Nagaoka: "Asymmetrical membrane fluidity of bovine adrenal chromaffin cells and granules and effect of trichosporin-B-VIa" Biophys.Biochem.Acta. 1375. 93-100 (1998)
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[Publications] Y.Nagaoka: "Baylis-Hillman Type Carbon-Carbon Bond Formation of Alkenylphosphonates by the Action of Lithium Diisopropvlamide" J.Org.Chem.63. 6428-6429 (1998)
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[Publications] Y.Nagaoka: "Enantioselective Conjugate Addition of Diethylzinc to Cyclohexanone Catalyzed by Chiral Aminophosphine-Copper(II)Triflate" Tetrahedron:Asymmetry. 9. 3175-3178 (1998)
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[Publications] K.Tomioka,Y.Nagaoka: "In Comprehensive Asymmetric Catalysis" Springer,New York(発表予定),