1998 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉Baylis-Hillman反応の開発とその活用の関する研究
Project/Area Number |
10771251
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩渕 好治 長崎大学, 薬学部, 助教授 (20211766)
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Keywords | Baylis-Hillman反応 / 不斉合成 / 触媒反応 / cinchonaアルカロイド |
Research Abstract |
3級アミン存在下、電子吸引基で活性化されたアルケンとアルデヒドが縮合して、α-メチレン-β-ヒドロキシカルボニル化合物を与えるBailys-Hillman反応は、その簡便さと高効率性に加え、生成物の合成化学的有用性から、最近、その不斉反応への展開に関心が高まっている。本年度は不斉Bailys-Hillman反応を可能にする高エナンチオ選択的触媒の設計指針の確立を目的として種々のcinchonaアルカロイド誘導体を合成し、その不斉Bailys-Hillman反応を精査した。 Bailys-Hillman反応の問題点として指摘されている反応速度の改善を図るために、まず、反応基質をp-ニトロベンズアルデヒド、触媒をDABCOに固定し、一連のアクリル酸誘導体についてその反応性を検討した。その結果、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレートが最も良好な結果を与え、-70℃という低温下でも反応は速やかに進行し、1時間以内に原料が消失することを見いだした。次いで、反応基質をp-ニトロベンズアルデヒドとヘキサフルオロイソプロピルアクリレートに固定し、キニーネ、およびキニジンから誘導した一連の化合物をキラルアミン触媒として、不斉Bailys-Hillman反応を検討した。反応温度および溶媒効果についても検討を重ねた結果、これまで92%eeを有する生成物を与える系を見い出すことに成功した。
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