1999 Fiscal Year Annual Research Report
オルトエステルを経由する新規グリコシル結合形成法の開発と応用
Project/Area Number |
10771256
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大竹 廣雄 帝京大学, 薬学部, 講師 (50256054)
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Keywords | グリコシル化反応 / オルトエステル糖 / スピロ環状オルトエステル / 還元的開裂 / β-マンノシル化 / 選択的還元 / 立体電子効果 / アノマー効果 |
Research Abstract |
グリコシル結合形成反応に関しては、Koenigs-Knorr法が開発されて以来、主にグリコシルドナーの活性化に主眼をおいた開発研究がなされてきている。本研究は、これとは異なるアプローチとして、グリコシル結合の形成を、1)糖ラクトン体と糖ジオール体とのオルトエステルの形成、2)形成したオルトエステルの還元的開裂、の2段階の反応として行なう新たなグリコシル化法を開発することを目的とした。 昨年度までに、オルトエステル糖の効率の良い合成法を確立し、また、それらをLiAlH_4/AlCl_3またはNaBH_3CN/AlCl_3を適宜用いて還元することにより、選択的にβ-グリコシドへと変換できることを見い出していた。本年度は、まず、これらの検討を引き続き行なうことにより、グルコース及びガラクトースの4,6-ジオール体と糖ラクトン体とを組み合わせた12種類のオルトエステル糖を合成し、それらを用いてマンノシル体及びラムノシル体を含む各種のβ-グリコシド化合物を選択的に合成した。 次に、合成したオルトエステル糖について、X線構造解析及びコンピュータによる配座解析を行なった。一般にオルトエステル糖には、スピロ炭素の立体配置に関し2種類の異性体が存在するが、合成した12種類のオルトエステル糖については、いずれも一方の異性体のみが選択的に得られた。解析の結果、これらのオルトエステル糖の1位の絶対配置を明らかにすることができ、また、生成した異性体のエネルギー的な優位性が、アノマー効果を考慮することにより説明されることも示すことができた。さらに、解明された立体構造に基づいて考察を行なうことにより、還元反応における位置選択性、及び、オルトエステル糖と還元剤との適合性について、立体電子効果の観点から統一的に説明すことにも成功した。
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[Publications] Hiro Ohtake: "Facile Ring Transformation from Gluconolactone to Cyclitol Derivative via Spiro Sugar Orthoester"Org.Lett.. 2. 457-460 (2000)
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[Publications] Masahiro Mori: "Presence of Phospholipid-Neutral Lipid Complex Structures in Atherosclerotic Lesions as Detected by a Novel Monoclonal Antibody"J.Biol.Chem.. 274. 24828-24837 (1999)
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[Publications] Hiro Ohtake: "Synthesis and Structure of Glycosylidene Acetals of Galactoside"Heterocycles. 47. 685-688 (1998)
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[Publications] Hiro Ohtake: "A Highly Stereoselective Construction of Glycosyl-β-(1→4)-Galactoside Linkages by Reductive Cleavage of Cyclic Orthoesters"Synlett. 1420-1422 (1998)