1998 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルリゲーション法を用いたHIVプロテアーゼ誘導体の合成研究
Project/Area Number |
10771261
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木村 徹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70204980)
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Keywords | 固相ペプチド合成 / ケミカルリゲーション / HIV / HIVプロテアーゼ |
Research Abstract |
HIVプロテアーゼは99アミノ酸よりなるアスパルチックプロテアーゼの一種で,エイズ治療のターゲットとして数種の薬剤が開発され効果をあげている.しかし本酵素は数残基のアミノ酸変異により薬剤耐性を獲得する.そのため耐性の研究に変異プロテアーゼが必要となった.本酵素は主に遺伝子組み替え法により合成されるが,多種類の変異プロテアーゼを得ることは困難である.本研究は近年開発されたケミカルリゲーション法を用いた化学合成により,HIVプロテアーゼ誘導体およびその変異体を合成し,変異プロテアーゼに有効な阻害剤の開発に役立てることを目的とする. 本年度はチオールとアルキルハライドからスルフィド結合を得るケミカルリゲーション法を用いて,HIVプロテアーゼ誘導体の合成を行った.また新規樹脂担体の開発もあわせて行った. 1 メルカプトアミドペプチド合成用樹脂担体の開発 従来の固相ペプチド合成法が適用できる新規樹脂担体をデザインした.樹脂担体との結合部には酸で切断可能なトリチルチオエーテル,またはチオールで切断できるジスルフィド結合を適用し,これらの実用性を検討したところ,保護基の除去反応時に副反応の少ないジスルフィド結合型樹脂担体が有用であることを見いだした. 2 セグメントペプチドの合成 1で開発したジスルフィド結合型樹脂担体を使用して,メルカプトアミドペプチドをFmoc型固相合成にて合成したところ,ほぼ満足の行く純度の目的物を得た.また通常のトリチル樹脂を用いてブロモアセチルペプチドの合成も行った. 3 ケミカルリゲーションによるHIVプロテアーゼ誘導体の合成 2で合成した二つのペプチドセグメントを反応し,HPLCにてその進行状況を確認したところ,3時間程度で反応は完結した.得られた大分子ペプチドをゲル濾過クロマトグラフィーにて精製し,高純度のHIVプロテアーゼ誘導体を得ることが出来た.
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