1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規な分子インプリンティング法を用いた反応触媒高分子の開発
Project/Area Number |
10771262
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
国嶋 崇隆 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (10214975)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング / 高分子化学 / 分子認識 / 反応触媒 |
Research Abstract |
1. 基質分子の非共有結合的認識を目的とした,分子認識のための官能基の共有結合的な導入法開発に関する検討:まず,キシレンジアミンとp-ビニル安息香酸とのアミド縮合を行い,これを鋳型として重合を行った.加水分解によりジアミンを切り離した後のポリマーを用いて,炭素鎖及び芳香環への結合位置を変えた各種ジアミンの結合活性を評価し,鋳型と基質との構造的相関を検討した.その結果,当初の予想より炭素鎖の一つ短いパラ置換のアミンが最も強く結合することが明らかとなった.次にフェニレン二酢酸とp-ビニルベンジルアミンのアミド縮合体を用いてジカルボン酸についても同様の検討を実施中であるが,まだ最終的な結論には至っていない. 2. 反応触媒としての利用に関する検討:上記の知見をもとに加水分解を触媒するポリマーの調製を目指して2位に置換基を有するマロン酸誘導体の合成を検討した.研究の初期段階である現時点では,加水分解の進行しやすいp-ニトロフェニルエステルが基質として適当であると考え,マロン酸の2位にアリールメチル基とアルキル基を導入し,ついでp-ビニルベンジルアミンとの縮合によりジアミドに変換するという手順で合成を行ってきた.現在は,この最終段階まで来ており,今後,これを鋳型に用いてポリマーの調製を行う.さらに,調製したポリマーを用いて研究計画書に記述したような,酵素様活性を評価するための検討を順次実施する. 3. その他:上記の実験に必要なジアミド類は溶解性等の観点から従来のアミド化剤がうまく機能しないため,その合成に予想以上の時間を要した.しかしながらその際,本来の目的から外れるが,この問題を解決する目的で水系等の極性溶媒中でDCCよりうまく機能する新規な脱水縮合剤の開発に成功した.
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