1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 修治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60237823)
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Keywords | 糖蛋白質 / 蛋白質X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
既に構築したヒトαガラクトシダーゼを発現する酒精酵母をファメンターで培養してヒトαガラクトシダーゼを大量に発現させ、ブルーカラムどConAカラムを用いて粗精製試料を得た。ヒトαガラクトシダーゼのアスパラギン結合型糖鎖をエンドグリコシダーゼHfを用いて短鎖化し、HPLCによる精製を進めて結晶化用試料を得た。ポリエチレングリコールを結晶化の沈殿剤として用いたところ、ヒトαガラクトシダーゼの斜方晶系結晶が析出した。斜方晶系結晶を種々の重原子試薬溶液に浸潤して重原子誘導体結晶の作成条件を検索し、白金または水銀が結合した良好な重原子誘導体結晶を得た。斜方晶系結晶と白金及び水銀誘導体結晶のX線回折強度データから重原子同型置換法により位相を決定し、分解能3.0Åの斜方晶系結晶の電子密度を計算した。得られた電子密度から、斜方晶系結晶の非対称単位にはヒトαガラクトシダーゼのダイマー一分子が含まれていることが明らかとなった。この情報を基にして電子密度中の溶媒領域の平滑化とタンパク質部分の電子密度の平均化を行ったところ、分子モデルを構築できる程度まで電子密度を改良することができた。改良した電子密度は、ヒトαガラクトシダーゼが約300アミノ酸残基からなるドメインと約100アミノ酸残基からなる小さなドメインの二つからなる構造を形成している事を明瞭に示していた。現在、得られた電子密度を基に分子モデルの構築及び修正を行い、分解能2.6Åで結晶学的構造精密化を進めている。また、ヒトαガラクトシダーゼの酵素反応機構を解明するために、斜方晶系結晶に基質類似阻害剤を浸潤させて複合体を形成させる条件も検討している。
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