1998 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の膜間移行現象を応用した新規癌ワクチンの開発
Project/Area Number |
10771269
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小暮 健太朗 徳島大学, 薬学部, 助手 (70262540)
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Keywords | タンパク質膜間移行 / リポソーム / 癌ワクチン |
Research Abstract |
本研究は、理想的な膜タンパク質の再構成方法として注目されつつあるタンパク質の膜間移行現象を応用することにより、外部から投与した抗原タンパク質(タンパク質再構成リポソーム)を膜間移行させ、癌組織に免疫原性を付与することを目指した新規癌ワクチンの開発を目的としている。本年度は、抗原タンパク質再構成リポソーム膜と細胞膜間でのタンパク質移行に関する情報を得るため、in vitroモデル系を用いて検討を行う。本研究では、抗原タンパク質としてヒト赤血球膜に存在するアニオン輸送担体であるバンド3タンパク質を採用した。バンド3タンパク質はモノクロナール抗体を用いたアフィニティーク口マトグラフィーによってヒト赤血球より単離・精製した。バンド3タンパク質はがなり疎水性の高い膜タンパク質であるため、用いる界面活性剤の選択およびアフィニティークロマトグラフの条件設定は困難なものであったが、純度の高いタンパク質を得ることに成功した。得られたバンド3タンパク質を含むタンパク質/脂質混合ミセル溶液を調製し、界面活性剤除去法により再構成リポソームを調製した。ショ糖密度勾配超遠心法によって、バンド3タンパク質がリポソーム膜に再構成されていることを確認した。物理化学的性質および構造の異なる数種類の界面活性剤について検討した結果、本実験条件においてTritonX-100が最も適していることを明らかにした。また、脂質/界面活性剤/タンパク質の最適比を見出すことにも成功した。さらに、抗原タンパク質の脂質膜間移行における最適条件を見つけるために、赤血球膜とリポソーム膜間でのタンパク質移行について、リポソーム粒子径や脂質組成等種々の条件の影響について検討した結果、赤血球膜から抗原となるバンド3タンパク質をリポソーム膜に移行させることに成功した。
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