1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771293
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗 孝紀 九州大学, 大学院薬学研究科, 助手 (60294964)
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Keywords | 構造安定性 / タンパク質抗原 / T細胞刺激能 / 抗体誘導能 / Th1 / Th2バランス / 抗原プロセシング / リゾチーム / 抗原量 |
Research Abstract |
タンパク質抗原の構造を安定化すると、抗原提示細胞内のプロセシング酵素に対する抵抗性が増加し、その結果T細胞を刺激するために必要な抗原ペプチドの産生量が減少する(So,T.et al.,J.Biol.Chem.,1997). ナイーブT細胞がTh1またはTh2の活性化T細胞に分化する際、抗原量がその分化方向を決定づける重要因子の一つであると考えられている。そこで、抗原の構造安定性の違いと生体内における抗原特異的Th1/Th2誘導能との関係について検討した。 構造安定性の異なるリゾチーム(HEL)誘導体で免疫したマウスのHEL特異的T細胞増殖能は、HELの安定性の増大とともに低下した。IFN-γ及びIL-4の産生能は、HELの安定性の増大に伴い両者ともに低下したが、IFN-γ/IL-4の比が安定性の増大とともに低下し、バランスがTh2側ヘシフトする傾向か観察された。HEL誘導体で誘導された抗体の特異性を調べた結果、不安定なHELでは、その強いT細胞刺激能にもかかわらず、未変性構造に対する抗体の誘導能が低下し、変性構造を認識する抗体が選択的に誘導された。一方、安定化したHELでは、そのT細胞刺激能の低下と一致して、未変性構造、変性構造両方に対する抗体の誘導能が低下した。IgG2a/IgGl比は押しの安定性の増大とともに低下し、すなわちTh2側ヘシフトする傾向がここでも認められた。以上、タンパク質の安定性は、生成する抗原ペプチドの生成景を負に調節し、Tl11.Th2細胞両者の誘導数を同時に低下させる因子として働くこと、また、安定性の増大がThl/Th2バランスをTh2側ヘシフトするように働くことが示唆された。
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