1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の増殖・分化、およびアポトーシス誘導に及ぼす微小重力の影響
Project/Area Number |
10771307
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡部 正彦 理化学研究所, 抗生物質研究室, 基礎科学特別研究員 (90301788)
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Keywords | 微小重力 / 情報伝達 / リン酸化 / 遺伝子発現 / c-fos / MAP kinase |
Research Abstract |
本実験では、マウスMC3T3-El細胞(骨芽細胞に分化誘導可能な細胞)における微小重力に感受性のあるシグナル伝達系および伝達経路上の作用点を明らかにすることを目的に、上皮増殖因子(EGF)、ホルボールエステル(PDBu)、およびホルスコリン刺激で誘発されるプロテインキナーゼ系(MAPKカスケード)に対する微小重力の影響を、タンパク質のリン酸化、および遺伝子発現レベルで検討した。 MC3T3-El細胞を細胞培養容器内で培養し、小型ロケット機(NASDA;TR-7号機)に搭載して打ち上げた。ロケットが落下するまでに生まれる微小重力空間でMC3T3-El細胞に対してEGF、PDBu、およびホルスコリン刺激を与え、DNA、RNA、およびタンパク質抽出試薬(ISOGEN溶液)を注入し帰還させた。また、比較対照の微小重力非暴露群として地上において同様の操作を行った。得られたタンパク質を用いて、MAPKのリン酸化状態を調べた結果、EGFおよびPDBu刺激によるMAPKのリン酸化は微小重力暴露群でも地上対照群と同様に生じることが示された。また、得られたRNAを用いてRT-PCR法によりc-fosの遺伝子発現を調べた結果、地上において認められたホルスコリン、およびPDBu刺激によるc-fos遺伝子の発現誘導は微小重力暴露群と比較しても有意差は認められなかったが、EGF刺激によるc-fos遺伝子の発現誘導は微小重力暴露群においてわずかな抑制が認められた。微小重力がMAPKのリン酸化からc-fos遺伝子発現に至るまでの過程に抑制的に働くことが示唆された。
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