1998 Fiscal Year Annual Research Report
白血球の機能発現におけるコフィリンの役割に関するアンチセンス法による解析
Project/Area Number |
10771310
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安達 玲子 国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 研究員 (10291113)
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Keywords | 白血球 / コフィリン / アンチセンスオリゴDNA / 細胞骨格 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
本研究は、アンチセンスオリゴDNA法を利用して、細胞骨格系タンパク質であるコフィリンのタンパク量を減少させた場合の白血球の機能を解析し、コフィリンの白血球機能発現における役割を明らかにすること、さらに白血球の細胞内情報伝達経路を解明することを目的とする。本年度は、コフィリン量の制御系の確立を目指し、アンチセンスオリゴDNAの塩基配列・投与方法等の検討を行った。アンチセンス配列としては、mRRNAの翻訳開始コドンを含む領域に対するもの(このタイプは成功例が多い)4種類、及び有効な配列のコンピューター予測の結果の中から5種類を用意した。長さは15塩基から24塩基で、全てホスホロチオエート修飾型である。対照としてゼンス配列(mRNAと同じ配列)のオリゴを用意した。さらに、細胞への取り込み・細胞内分布の検討のため、蛍光標識したアンチセンスオリゴDNAも用意した。細胞は、マクロファージ様に分化誘導したU-937細胞、単球様に分化誘導.したTHP-1細胞など、ヒト由来の白血球系細胞を用いた。細胞への投与は、高濃度(10μM程度)のオリゴDNAを単独で投与する方法、あるいは低濃度(1μM程度)のオリゴDNAと少量の遺伝子導入試薬を併用する方法により行った。蛍光標識したオリゴDNAを投与した細胞を共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡で観察したところ、オリゴDNAが細胞内に取り込まれていることが確認され、また、高濃度オリゴの単独投与よりも遺伝子導入試薬を併用した場合の方が、細胞への導入効率がよいことが示された。そこで、数種の遺伝子導入試薬を用いてアンチセンスオリゴDNAを細胞に投与し、ウェスタンブロット法にてコフィリンタンパク量の変動を検討した。これまでの研究から翻訳開始コドンを含むアンチセンス配列が有効である傾向が示された。今後さらに研究を進め、アンチセンスによるコフィリン制御系を確立し、白血球機能発現の機構について解析する。
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