1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771318
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前崎 直容 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (00229296)
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Keywords | 不斉非対称化 / 不斉合成素子 / 不斉開裂反応 / C2対称ビススルホキシド / 擬似糖 / シクリトール / クエルシトール / アロサミゾリン |
Research Abstract |
擬似糖及び擬似糖を含む糖鎖類似体は、生体機能解明のためのツールとして、あるいは様々な医薬品のリード化合物として大いに期待されている。そこで多くの不斉中心を有する擬似糖の不斉合成の際に問題となる異性体の生成や、その分離の問題を最小限に抑え、光学純度の高い擬似糖を効率的に供給する方法論を確立することを目的として研究を行った。今回、独自に開発した不斉補助剤、C_2対称型ビススルホキシドを用いて、合成の容易なシグマ対称ジオールを不斉非対称化により、利用価値の高い不斉原料に変換することを検討した。その結果、以下の成果を得た。 1) シクリトール型擬似糖の不斉合成 シクリトール型擬似糖の不斉合成のための新しい不斉合成素子として、4-シクロヘキセン-1,2-ジオールを不斉非対称化して得られる光学活性モノベンジルエーテルに着目した。この化合物は6員環上のすべての位置を任意に官能基化可能である点で有用な不斉合成素子となることが期待される。今回その高選択的な合成に成功するとともに、本不斉合成素子への立体選択的な官能基入導入法とその立体制御法に関する問題点を解決し、クエルシトール類の系統的合成法の基礎を確立することができた。 2) 複素環擬似糖の不斉合成 多不斉中心を有する擬似糖を効率的に合成するため、メソシクリトールの不斉非対称化を検討した結果、ら対称型ビススルホキシドを用いる不斉非対称化法により、目的を果たすことができ、本法が多不斉中心基質の合成にも有効であることが明らかとなった。得られた不斉原料はわずかの化学変換により強力なキチン分解阻害作用を有するアロサミンの活性中心であるアロサミゾリンに効率良く導くことができ、多不斉中心複素環擬似糖の合成に有効な手法を確立することができた。
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Research Products
(1 results)