1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771319
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 喜夫 九州大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50253472)
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Keywords | ニワトリリゾチーム / マウスリゾチーム / キメラタンパク質 / ランダム変異 / 変性温度 / αヘリックス |
Research Abstract |
タンパク質を薬として投与する場合、免疫現象を抑えることが必須であり、ヒト型化が有効である。しかし、ヒトを対象に初めから研究を開始することはできない。そこでまず、マウスを対象に、マウス型化のノウハウを蓄積することとした。詳細に研究されているニワトリリゾチームのマウス型化の手始めとしてニワトリとマウスのリゾチームの安定で活性を有するキメラの作製した。つまりニワトリリゾチームのアミノ酸残基81番目と82番目の間で互いに入れ替えた。後半がマウスのキメラ(HM)は酵母から分泌しないことから立体構造を保持していないと考えられた。そこでランダム変異をかけた結果、酵母から分泌し活性が回復したHM変異体を得ることができた。その変異箇所は、DNA配列決定により、2重HM変異体Asn27Asp/Val109Alaと確認された。この変異体のそれぞれの変異の寄与を調べるため、それぞれの単変異体を酵母により作製した。これら3種のHM変異体(Asn27Asp/Val109Ala、Asn27Asp、Val109Ala)の変性温度を示差走査微小熱量計により測定した結果、pH2.7においてそれぞれ42.3、39.1、40.8度であった。一方、HM、HM(Asn27Asp/Val109Ala)、HM(Asn27Asp)、HM(Val109Ala)について大腸菌で封入体として発現させinvitroで巻き戻し、陽イオン交換HPLCで検出した。その結果、HMは検出限界以下で、またそれ以外の3種類はネイティブリゾチームに比べてそれぞれ14%、3%、7%であり、ほぼ熱安定性の結果と相関していた。Asn27Asp変異はαヘリックスのN末端にマイナスチャージを導入することによる安定化で、またVal109Ala変異はValよりへリッタス形成能が強いAlaへの変異による安定化で、これらの安定性が加算的に働いて2重変異体が得られたと考えられる。以上、この研究から以下の2つを結論した;キメラ体が不安定であるとき酵母によるスクリーニング方法は安定なものを得るためには有効であること、単変異の安定性を組み合わせることにより安定なものが得られること。
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