1998 Fiscal Year Annual Research Report
放射性代謝物の体内動態を利用した癌診断・治療用の蛋白質放射性医薬品の開発
Project/Area Number |
10771320
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
向 高弘 長崎大学, 薬学部, 助手 (30284706)
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Keywords | 蛋白質 / 放射能 / 癌 / 肝臓 / 放射性代謝物 / リソソーム / 胆汁排泄 |
Research Abstract |
放射性同位元素(RI)標識蛋白質投与後の放射能動態は、母体蛋白質の動態だけではなく、放射性代謝物の動態にも影響される。本研究では、癌細胞と肝実質細胞における放射性代謝物の異なる排泄挙動を利用して、癌細胞に選択的に放射能を送達できる蛋白質放射性医薬品を開発することを目的とする。そこで、肝汁排泄機構の存在しない癌細胞のモデルとして肝非実質細胞を選択し、肝実質細胞、非実質細胞それぞれのリソソームに受容体を介して取り込まれるgalactosyl-neoglycoalbumin(NGA)、mannosyl-neoglycoalbumin(NMA)を母体蛋白質として用い、各種RI標識法に由来する放射性代謝物に関する以下の知見を得た。 1. DTPA二無水物により作製したNGA-DTPA-^<III>Inをマウスに投与したところ、肝実質細胞、非実質細胞でlysine-DTPA-^<III>Inが放射性代謝物として生成すること、またこれらの両細胞からの消失半減期は30時間以上であることが明らかとなった。 2. 直接標識法により作製した放射性ヨウ素標識NGA、NMAをマウスに投与したところ、肝実質細胞、非実質細胞からの放射性代謝物の消失は極めて速いことが明らかとなった(半減期:15分以下)。 3. SCN-Bz-EDTAにより作製した^<III>In標識NGA、NMAをマウスに投与したところ、両肝細胞においてlysine-SCN-Bz-EDTA-^<III>Inにまで代謝され、本代謝物は実質細胞からは速やかに消失したが(半減期:1.5時間)、非実質細胞からの消失は遅延することが明らかとなった(半減期:30時間以上)。 これらの結果は、肝実質細胞から速やかに肝汁排泄されるが、肝汁排泄機構を持たない癌細胞には長時間滞留する放射性代謝物を設計するための基礎的指針となると期待される。
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Research Products
(1 results)