1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771322
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
橋本 幸子 昭和大学, 薬学部, 助手 (90266164)
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Keywords | アポトーシス / カルパーゼ / MAPキナーゼ / 紫根 |
Research Abstract |
紫根の一成分であるβ-hydroxyisovalerylshikonin(β-HIVS)により誘導されるアポトーシスのシグナル伝達機構を解明するため、主にHL-60細胞を用いβ-HIVSを処理して以下の実験を行った。 1、 アポトーシスは処理後2時間で始まり6時間でほとんどの細胞で確認され、これと同様のパターンでCaspase-3及び8の活性化は誘導された。また、Caspaseの阻害剤であるZ-Aspを用いることでβ-HIVSにより誘導されるアポトーシスは完全にブロックされた。 2、 MAP kinase familyであるERK、JNK、p38 kinaseの活性化はアポトーシスやCaspaseが誘導されるよりも先に起こった。中でもJNKはZ-Aspの前処理によってもその活性に影響がないことからβ-HIVSによるアポトーシスのシグナルはJNKの下流にCaspaseの経路が存在するかまたは、これらの経路とは独立して作用している可能性がある。 3、 HL-60細胞にβ-HIVSを添加すると、他の薬物では観察されないような形態変化を示すが、その形態変化はZ-Aspを用いてDNAの断片化を阻害しても元に戻らなかった。また、サイトカラシンBで形態変化を阻害しても、DNAの断片化及びCaspase-3様活性には影響が認められなかった。これらの結果から、β-HIVSが誘導する独特な細胞の形態変化はアポトーシス(DNAの断片化)とは異なったシグナルで制御されていると考えられる。 4、 β-HIVSはHL-60の他にもU937(単球芽球様白血病細胞)、VMRC-MELG(大腸癌)、COLO320DDM(大腸癌)、AZ-521(胃癌)、MIA paca-2(膵癌)などの細胞で効果的であった。
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Research Products
(1 results)