1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771323
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小椋 康光 千葉大学, 薬学部, 助手 (40292677)
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Keywords | 銅 / 亜鉛 / ICP MS / スペシエーション / シャペロン / テトラチオモリブデート / 炭酸脱水酵素 / HPLC |
Research Abstract |
細胞内において鋼(Cu)および亜鉛(Zn)の輸送の機構を明らかにすることを目的として、本年度は肝臓内における主要なZn結合蛋白質の同定と、生体内の主要なCu酵素と細胞内でCuの輸送に関与しているシャペロンに対する選択的Cuキレート剤の効果の検討を行った。 HPLC・ICP MS法で金属結合蛋白質を分離分析する際に、これまで標準的に用いてきた溶出条件ではメタロチオネインと分離できていなかったZn結合蛋白質が溶出条件を変えることにより分離可能となった。このZn結合蛋白質を数種のカラムクロマトグラフィーにより分離し、アミノ酸の内部配列を解析した結果、炭酸脱水酵素III(CAIII)であることが明らかとなった。 性成熟後のラットでは肝臓中の総Zn亜鉛濃度には雌雄差がなかったが、可溶性画分中のZn濃度は雄性ラットで有意に高くなっていた。CAIII中のZn量は、性成熟後の雄性ラットでは肝臓可溶性画分中の主要なZn結合蛋白質であるZu,Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)中のZnとほぼ同量存在していたが、同週齢の雌性ラットではほとんど存在していないことがHPLC-ICP MS法によって明らかとなり、可溶性画分中のZn濃度の雌雄差は、CAIIIのZnによると結論した。 選択的Cuキレート剤であるテトラチオモリブデート(TTM)は、MTに結合しているCuに対して選択性が高く、in vitroでCu酵素であるセル口プラスミン(Cp)からCuを取り除かないことを既に示した。in vivoでTTMを投与した結果、CpにCuが供給されていなかったことから、CpにCuを供給するシャペロンのCu結合部位は構造的にCpとは異なりMTと類似しているため、TTMの選択性はCuの配位構造に対する選択性であると示唆され、今後TTMはシャペロンの機能を検討するための有用な手段となりえることが考えられた。
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