1998 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた内分泌撹乱物質の簡便な生物学的影響評価法の開発
Project/Area Number |
10771326
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30227631)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 線虫 / ビテロゲニン / エストロゲン / RT-PCR |
Research Abstract |
本年度は研究実施計画に従い,線虫ビテロゲニン遺伝子の特異的プライマーを用いて,RT-PCR法によるmRNA定量法の確立を試みた.まず,線虫の継代培養を行い,線虫のtotalRNAを調製した.Oligo(dT)をプライマーに用いて逆転写反応を行い,cDNAを作製した.そのcDNAを用いてPCR反応条件について検討した.20から35サイクルまで比較的定量的に増幅できることが分かった.次に,天然のホルモンであるエストラジオールをコントロールとして線虫におけるビテロゲニンの誘導について検討を行った.しかし,成虫においてビテロゲニンが大量に発現していることから,成虫,幼虫の共存した試料を用いるとエストラジオールによるビテロジエニンの誘導効果がほとんど見られなかった.そこで,線虫の幼虫と成虫の分離を試みた.Sephadex G-25によるゲルろ過で1から2期の幼齢幼虫と成虫,卵が完全分離できた.その幼虫を用いてエストラジオールの影響を調べた.1ppbのエストラジオール,2時間から4時間処理でビテロゲニンの誘導が観察された.また,濃度について検討したところ,100ppt程度のエストラジオールでも誘導が見られた.内分泌かく乱物質といわれているビスフェノールAは,1ppmでビテロゲニンを誘導した.所属施設ではノーザンブロット分析を行うために十分な設備がないため,定量性の高いcompetitive RT-PCRを行って定量を行う予定であり,competitorを作製したところである. ビテロゲニンタンパク質の発現系の構築は,全cDNAをクローニングは終了したが,pETベクターを用いた系では全タンパク質の発現はできなかった.特異抗体を作製するためには部分配列でも可能であると考え,今後N末端あるいはC末端等の欠損変異体を作製し,タンパク質発現を試みる予定である.
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