1999 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた内分泌撹乱物質の簡便な生物学的影響評価法の開発
Project/Area Number |
10771326
|
Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
富永 伸明 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30227631)
|
Keywords | 内分泌撹乱物質 / 線虫 / ビテロゲニン / エストロゲン / RT-PCR / メタロチオネイン |
Research Abstract |
昨年度の研究の結果,線虫を天然の女性ホルモンであるエストラジオールあるいはビスフェノールA等のいくつかのホルモン様活性を持つと言われる化学物質に曝露することで卵黄タンパク質ビテロジェニンが誘導される事を明らかにできた.本年度は定量性を高めるためにcompetitive PCRの実施を試みた.その結果,約40および80塩基対欠失させて作成した2種類のcompetitorは両方ともビテロジェニンcDNAと定量的に競合し,定量可能であった.しかし,本年予定していた抗ビテロジェニン抗体の作成はタンパク質の発現条件の検討が上手くいかず作成できなかった.また,本年度は重金属類の多くもホルモン様,抗ホルモン様作用が疑われていることから,重金属の影響を検討した.方法は線虫のメタロチオネイン遺伝子の特異的プライマーを作成し,ビテロジェニンとメタロチオネイン遺伝子の発現を同時にRT-PCRによって測定した.その結果,水銀,カドミウムにおいては曝露30分後から定量的にメタロチオネイン遺伝子の誘導が検出でき,従来の培養細胞を用いた検出系と比較して遜色ないかそれ以上の検出感度を示した.同時にビテロジェニン遺伝子は,いくつかの重金属によってわずかではあるが誘導される傾向も見られた. 以上のことから,タンパク質レベルでの評価系を構築することはできなかったが,本研究課題の目的である内分泌撹乱物質の影響が線虫のビテロジェニンおよびメタロチオネイン等の遺伝子を指標としたRT-PCR法で簡便に評価できる可能性があること,さらには近年問題となっている動物に変わる代替材料として線虫は非常に有効なツールとなる事を示すことができた.
|