1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトマウスSim2遺伝子の発現調節機構とダウン症精神遅滞
Project/Area Number |
10771337
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
八巻 明子 杏林大学, 保健学部, 助手 (40296546)
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Keywords | ダウン症候群 / Sim2遺伝子 / 転写開始点 / プロモーター領域 / 転写因子 / cis-エレメント / ゲルシフトアッセイ / GFP |
Research Abstract |
(1)ヒト21番染色体長腕q22.2上に座位するSIM2遺伝子の転写機構を明らかにするために、ルシフェラーゼ発現ベクター(pGL3-Basic)へ組み込んだSIM2遺伝子転写調節領域の解析から、転写開始点上流-1385〜1325の60-bpの領域に強いルシフェラーゼが見られた。この60-bpの領域に存在する既知のcis-エレメントをコンピュータ検索(TFSEARCH)し、E2F、c-myb、E47の3種の転写因子結合部位が予測された。それぞれ因子の結合部位のコンセンサス配列から1塩基のみを変異させ、同様にプロモーター活性を測定したところ、E2F変異体では野生型に比べ活性が1.5倍増加した。c-myb結合領域がSIM2遺伝子の転写機構に何からの影響をもたらすことが示唆された。 また、60-bpの領域内から作製した8種類の配列(c-mybW1〜W5、c-mybM、E47W、E47M)を用いてゲルシフトアッセイを行った。c-mybコンセンサス配列を^<32>P放射性プローブ(c-mybW1)にし、8種類を非放射性プローブとして競合実験を行ったところ、c-mybW1とc-mybコンセンサス配列からわずか2-bp上流にずらし下流5-bp短くしたプローブ(c-mybW4)においてシフトバンドの消失が起こった。8種類を全て放射性プローブにしてゲルシフトアッセイを行ったところ、競合実験と同じくc-mybW1とc-mybW4に特異的なシフトバンドが検出された。今後はシフトバンドからSIM2遺伝子特異的な転写制御因子が何かを同定する (2)ヒトSIM2蛋白質の各ドメインをグリーン蛍光蛋白質(GFP)発現ベクター(pEGFP-N1)に組み込み、ヒトSIM2蛋白質との融合蛋白をグリオブラストーマ由来のT98G細胞内に発現させ蛍光顕微鏡を用いて細胞内発現を観察した。結果、ヒトSIM2蛋白質全長を発現させると核内に発現が見られるが、N末端のbHLHドメインのみでは細胞全体に、bHLH-PASドメインのみでは細胞質内に局在し、中央付近のHSTドメインのみでもbHLH-PASドメインのみとは異なる発現パターンであるが細胞質内に局在することが分かった。今後は、C末端における発現パターンの検討や、詳細な細胞質内局在について検討する。
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