1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンH1受容体欠損マウスを用いたアレルギー性鼻炎の解析
Project/Area Number |
10771339
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 幸雄 岡山大学, 薬学部, 助手 (50263611)
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Keywords | ヒスタミン / H1受容体 / ノックアウトマウス / アレルギー性鼻炎 / グラジキニン / 鼻アレルギー症状 / くしゃみ反応 / 鼻掻き行動 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎は血管透過性亢進反応および痒みを主体とした疾病であり,ヒスタミンが最も重妻な化学伝達物質であると考えられている.しかし,臨床において抗ヒスタミン薬のみでは十分な治療効果が認められないことからヒスタミン以外の因子の関与が想定されている.近年,アレルギー性鼻炎の発症および進展に神経ペプチドの関与を示唆する研究結果が報告されているが,神経ペプチドの鼻アレルギー症状発現における役割については未だ十分解明されていない.著者はこれまでにヒスタミンH1受容体欠損マウスにサブスタンスPを点鼻投与することにより有意なくしゃみ反応および鼻掻き行動が認められたことから,サブスタンスPはヒスタミンH1受容体を介さず鼻アレルギー症状を誘発させることを明らかにした.今回,ヒスタミンH1受容体欠損マウスを用いて鼻アレルギー症状発現におけるブラジキニンの影響について検討をおこなった. 実験には,5-15週齢の雄性ヒスタミンH1受容体欠損マウスおよびその野生型マウスを用いた.マウスに種々な濃度のブラジキニン生理食塩溶液を点鼻投与し,誘発されるくしゃみ反応および鼻掻き行動の回数を測定することにより鼻アレルギー症状の指標とした. ヒスタミンH1受容体欠損マウスに0.1μg/2μlのブラジキニン生理食塩溶液を点鼻投与することによりくしゃみ反応および鼻掻き行動はほとんど観察されなかったが,1μg/2μl以上の濃度のブラジキニン生理食塩溶液を点鼻投与することにより有意なくしゃみ反応および鼻掻き行動が誘発された. 以上の結果から,サブスタンスPのみならずブラジキニンもヒスタミンH1受容体を介さずに鼻アレルギー症状を誘発させることが明らかとなった.
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