1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域における家族介護力の評価方法の開発に関する研究
Project/Area Number |
10771355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 恵美子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90251230)
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Keywords | 介護者 / 介護継続意向 / 介護の肯定的側面 / 介護負担感 |
Research Abstract |
高齢化社会の進行を背景に、介護者の介護への主観的な受け止め方として介護の肯定的側面を「介護に対する肯定的なとらえ方」、否定的側面を「介護負担感」、介護継続にかかわる意向を「介護の継続意向」と義し、本研究の目的を、1)介護者の介護に対する肯定的なとらえ方の実態を明らかにする。2)介護者の介護対する肯定的なとらえ方と介護負担感が、介護を行っていく上での継続意向にどのように関わるのかを明らにすることとした。 訪問看護ステーションを利用しているほぼ寝たきりの要介護者の主介護者40名を対象に訪問面接調査行った。調査項目は、介護者および要介護者の属性、介護に対する肯定的なとらえ方として、介護に対して楽しみや喜びを感じているかについての項目とその程度についてVisual Analogue Scaleを用いた。介護満足感は、Lawtonの"Caregiving Appraisal Scale"のSatisfaction Sub-Scaleを参考に8項目を作成した。介護負担感については荒井らの翻訳版である"The Burden Interview"日本語版評価尺度を用いた。また、介護の継続意向は5段階で尋ねた。その結果は次の通りである。1.介護に対する喜びや楽しみを感じている介護者は、全体の約6割であった。2.介護の継続意向が高い介護者は、続柄として配偶者・実子で、介護態度の積極性や社会サービスの利用意向、介護満足感が高かった。3.介護者が介護を通じて感じた楽しみや喜びの出来事については、健康状態の改善等の要介護者に関する内容、要介護者本人からの感謝の言葉等の介護者個人に関する内容、家族の絆が深まった等の家族に関する内容の3つに分類できた。 在宅ケアの方向性として、介護負担軽減のためのアプローチとともに、介護に対する肯定的なとらえ方を促す方向への働きかけが重要であることが示唆された。
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