1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10771363
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
吉谷 優子 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 講師 (80294106)
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Keywords | 精神障害者地域ケア / 精神障害者 / 地域ケア / 精神病患者 / 居場所 / 就労訓練 / 社会復帰 / 歴史 |
Research Abstract |
〈先行研究〉 精神障害者地域ケア施設の理念や設立の経緯、維持・運営と援助の方法は、これまでの文献ではそれぞれ別に検討されているものがほとんどであった。また、看護学の文献ではこれらについて書かれたものは少なく、医学・福祉等幅広い分野の文献を検討する必要性が示唆された。 〈文献の収集・分析〉 精神障害者地域ケア施設の設立は研究の範囲とした1945年以降のどの時代においても、障害者の家族によってされたものが多かった。 1980年代中ごろまでは、病院への社会的入院に対する選択肢として精神障害者の就労を最終目標とした地域ケアが多かった。就労の替わりとなるような、障害者にある程度賃金を渡すようなケアを目指したものも目立ったが、その賃金で十分生計を立てることが出来るほどのものはなかった。 それ以降は、就労とは関係なく居場所やくつろぎの提供等を目指したものが現れたが、そういった施設の中にも居場所であるにとどまらず、何らかの社会に役立つ活動を目指すように変化していくものもあった。 また、制度の変化は地域ケア施設の理念・維持と運営の方法・援助の方法に関与しているが、制度の中でも補助金の金額や運用方法が大きく影響していることが分かった。しかし、補助金の金額等は地方自治体によって大きな差があり、さらにその差に着目した検討が必要と考えられる。さらに精神障害者を取り巻く地域住民の精神風土にも地方によって大きな差があると見られるので、この点についても地域ケア施設の理念・維持と運営の方法・援助の方法との関連を検討する必要がある。
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