1998 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者社会復帰施設と地域社会における精神障害者の活動についての研究
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10771374
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 文子 山形大学, 医学部, 助手 (50282207)
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Keywords | 精神障害者 / 精神科デイケア / 精神障害者小規模作業所 / 地域社会 / ケース・スタディ |
Research Abstract |
平成10年度は,山形県内の精神科デイケアと精神障害者小規模作業所を利用中の精神障害者13名を対象に,施設活動への参加観察と対象者への非構造的インタビュー,施設職員への聞き取りによるケース・スタディを実施した。その結果,以下の知見を得た。 1. 精神科デイケアや小規模作業所における精神障害者の活動:精神科デイケア利用中の障害者は,日常生活を維持することに支援を必要としている者から,就労を目指す者までと幅広かった。特に,ひとり暮らしの中高年齢の障害者は,様々な生活支援を受け,地域社会における生活の基盤としてデイケアを利用していた。また,精神障害者のデイケアにおける活動状況は,通所期間よりも,病状やその変化が大きく影響していた。 小規模作業所における活動の大きな特徴は,例えば,障害者作業による工賃を楽しみにする者,作業は全くせず居場所としている者,指導員へ相談するために通所する者,将来作業所の指導員を目指す者など,障害者各人の利用目的の多様性であった。したがって,地域の作業所がそれぞれ個性をのばすことの重要性と同時に,障害者自身が,地域に多数ある作業所の中から,自分に適した施設を選択できる機会の提供が必要である。 2. 精神障害者が地域社会で利用している社会資源や生活行動範囲:精神障害者の利用する社会資源や生活行動範囲は,各人の興味と関連して個性的であった。また,自分の意志で利用する資源が多い者程,その後の生活が拡大していく可能性が高いことが推察された。精神障害者の地域社会における活動の特徴は,経済活動や消費活動に関する資源が乏しいことであり,障害者の就労の困難さや経済的基盤の弱さが改めて明らかになった。
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