1999 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健施設における専門看護師(老人看護)の機能と実践に関する試案検討
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10771388
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
竹崎 久美子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (60197283)
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Keywords | 老人看護 / 専門看護師 / 看護実践 / 老人保健施設 / 調査研究 |
Research Abstract |
未だ専門看護師の誕生していない老人看護領域に於いて、老人看護専門看護師の活動の可能性について探ってきた。昨年行った米国における視察の結果明らかとなった急性期並びにLong Term Careにおける老人看護専門看護師の活動実践を踏まえ、我が国における老人看護専門看護師に対するニーズ調査を実施した。対象は阪神間にある公立医療機関で、一般病棟と併設して老人保健施設又は療養型病床群を持つ医療機関18施設である。これらの医療機関に於いて、現在一般病棟で老人看護に携わっている看護スタッフ241名と老人保健施設・療養型病床群(以下、専門棟と称す)で看護に当たっている看護スタッフ89名から回答を得た。一般棟では20歳代24%、30歳代40%、40歳代29%、50歳代以上5%と年齢層が別れるのに対し、専門棟では各々14%、35%、38%、11%と両群の年齢層が若干異なっており、看護職としての経験年数も一般棟平均14年(SD7.4)、専門棟平均16年(SD7.5)であった。老人看護に対する関心を問うと一般棟(29%)に比し専門棟は66%が関心が高く専門的に学びたいと考えていた。 本調査の結果、余暇活動・高齢者特有の行動・家族への指導、リハビリ部門との連携については、「対処できる」と答えた者が専門棟スタッフの方に有意に高かった。日頃から老人看護に積極的に関わっている成果と云えよう。しかし夜間コールが多い、なかなか指示を覚えていられないなどのメンタル又は痴呆症状を呈する患者に対する対応や、合併症の悪循環を断ち切れない患者。あるいは家族介入については「対応に悩むことがある」と答えていた。また地域の社会資源との連携や介護職との専門性を生かし合った連携についても同様の結果であった。以上の点を考慮すると、一般棟のみならず専門棟に於いても老人看護専門看護師の存在意義は高く、これらの課題に対する実践能力が必須であることが明らかとなった。
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