比較科学史としての「科学と帝国主義」研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10780002
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (80266353)
• Keywords: 世界史 / 日本史 / 科学史 / 帝国主義 / 植民地 / 科学社会学 / 蘭学 / 近代化

Research Abstract

本研究計画は、ほぼ当該の研究成果に到達した。これを以下の点についてまとめておきたい。尚、業績については、ここではこまかくふれないが、大きな反響を得ている。
(1)国際的な研究の現状の調査: これについては海外渡航による調査、レヴューなどを通じて、おもに18、19世紀の当該領域の研究の進展状況を把握できた。また所記のコンピューターを利用した情報検索についても、近年の検索エンジンの発達、データー処理能力の飛躍的向上により、有為な成果を得た。
(2)比較科学史の方怯論的基盤の検討については、業績欖に示したように科学の文化的基底というキーワードの論文で明らかにした。現在、科学社会学、STS研究などから提起されている鍵概念がその中では歴史的文脈におかれて検証され、科学の社会的背景が明らかにされた。なかでも殖民地における科学的活動の分析のための基礎ができた。科学史の広がりが望まれる。
(3)近代科学が世界化することを総合的に考察する上での殖民地における知的活動の意義は大きく、今回は知的優位性というキーワードでこれを分析する可能性が明示的に示された。

Research Products

• [Publications] Togo Tsukahara: "The Westernization of Chemistry from Different Augle"Hiztoria Scientiarum. vol.4. 1-26 (2000)
• [Publications] 塚原東吾: "日本の近代化と蘭学"化学. 4. 51-62 (2000)
• [Publications] 塚原東吾: "日本における自然科学受容の文化的な基底"科学の文化的基底(国際高等研). 2. 20-48 (2000)
• [Publications] Togo Tsukahar: "Westernization from the Viewpoint of Colonial Science"the 9th ICSHEA (Singapore). 9. 256-261 (2000)
• [Publications] 塚原東吾: "シーボルトによって記録された気象データーの解析"福武学術文化財団平成9年度年報. 1. 63-73 (1998)
• [Publications] 塚原東吾: "サイエンス・ウォーズ:解説"世界. 1. 198-199 (1999)
• [Publications] 塚原東吾: "科学技術のゆくえ(共著)"ミネルヴァ書房. 20 (1998)
• [Publications] 塚原東吾: "長崎薬学史(共著)"長崎大学薬学部. 8 (1999)