1998 Fiscal Year Annual Research Report
運動継続要因に及ぼす水中歩行の生理・心理学的特性の影響
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10780026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斉藤 篤司 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (90195975)
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Keywords | 運動継続要因 / 効果の効率 / 水中歩行 / 陸上歩行 / 酸素摂取量 / 血中乳酸 / AT |
Research Abstract |
目 的:これまでの運動処方は生活習慣病の改善(二次予防)が中心となり運動の効果のみの追求に終始してきた。しかし、有効であるというだけでは運動の習慣の獲得と継続には結びつかないことが明確となった。そこで著者らは、運動習慣の獲得と継続の要因として、「目標達成の効率」と「運動にともなう快」という2つの要因を重視したモデルを構築しているところである。本研究はこのモデルの一部として下記の2項目を検証することを目的とする。 1) 水中での運動は循環器系への負担を軽減するとともに静脈還流を促し、糖脂質代謝を亢進する可能性がある。2)重力からの解放と水流により陸上における運動に比し快が高まる可能性がある。 方 法:健常な一般男子大学生を対象にAT強度での陸上歩行と水中歩行を行わせ、その際の糖代謝動態の違いについて検討した。陸上歩行はトレッドミルを用いた速度漸増法により、負荷を漸増した際の血中乳酸値からATを求めた。水中歩行ではトレッドミルのついた回流式の水槽を用い、トレッドミルの速度を一定(60m/min)とし、水流を漸増した際の血中乳酸値からATを求めた。また、それぞれのATでの酸素摂取量を運動強度として用いた1時間の運動中の糖代謝の変化について検討する。 結 果:血中乳酸値が4mmol/lを越える付近まで負荷漸増をおこなった結果、陸上歩行と水中歩行中の心拍数と酸素摂取量の関係はほとんど同一であった。しかし、一人の被検者を例に示すと陸上歩行でのATは酸素摂取量が約1300〜1400ml/min付近で出現するのに比し、水中歩行では1600〜1700ml/min付近で出現するというようにAT出現の全体的運動強度は異なった。このことは相対的に同一の運動強度で運動した場合、水中歩行の方がより、高い酸素摂取量で運動することが可能となり、糖代謝亢進につながる可能性が示唆された。
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