1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780032
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉浦 春雄 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40187646)
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Keywords | マクロファージ機能 / 自発運動 / 老化 / マウス |
Research Abstract |
老齢期の継続的な運動がマウスのマクロファージ(M φ)系免疫機能に及ぼす影響について検討した。生後1年齢および生後9週齢のBALB/c系雄性マウスを用い、老齢運動群、老齢安静群および若齢安静群の3群に区分した。運動は、運動量測定装置を用いた自発運動を暗期の12時間、週3日、8週間にわたって実施した。結果の概要は以下のようであった。 1. 一日あたりの平均走行距離(m/day)について:実験期間中、老齢運動群の一日あたりの平均走行距離は、3,00〜5,000mを推移した。しかし、週齢が増すにつれて運動量が低下する傾向を示した。 2. 胸腺重量、胸腺細胞数および腹腔M φ機能に及ぼす加齢の影響:(1)胸腺重量および胸腺細胞数は、老齢安静群が有意(P<0.01)に低値を示し、加齢の影響が認められた。(2)腹腔M φ機能では、若齢群と比較して、老齢安静群のライソゾーム酵素活性(酸性ホスファターゼ活性:APH、β-グルクロニダーゼ活性:GLU)、in vitroでのグルコース消費能、LPS刺激による一酸化窒素(NO)産生能およびIL-1β産生能で有意(P<0.01)に低値を示し、加齢によるM φ機能の低下が認められた。腹腔M φのIL-6産生能は両群同様な値を示し、加齢による影響は認められなかった。 3. 胸腺重量、胸腺細胞数および腹腔M φ機能に及ぼす運動の影響:(1)胸腺重量では、老齢対照群と老齢運動群ともに同様な値を示し差異は認められなかった。胸腺細胞数では、老齢対照群と比較して老齢運動群が高値を示し、運動による細胞数の減少抑制傾向がみられた。(2)腹腔M φ機能では、老齢安静群と比較して、老齢運動群のGLU、in vitroでのグルコース消費能、LPS刺激によるNO産生能およびIL-1β産生能で有意(P<0.01)に高値を示し、老齢期の運動の効果が認められた。腹腔M φのIL-6産生能は、老齢対照群および老齢運動群ともに同様な値を示し、運動の影響は認められなかった。 以上の結果から、老齢期の運動は腹腔M φ機能の一部分の加齢変化を修飾できることが明らかとなった。このことから、継続的な運動は老齢期の生体防御機能に好影響をもたらす可能性が示唆された。
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