1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780036
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
伊坂 忠夫 立命館大学, 理工学部, 助教授 (30247811)
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Keywords | 持ち上げ動作 / 関節トルク / 筋電図 / 二関節筋 |
Research Abstract |
物を持ち上げる動作という作業場面において,膝を使わず股関節を中心とした持ち上げ動作(back lift;BL)と膝を使った持ち上げ動作(leg lift;LL),が特徴的な動作として指摘されている.本研究では,腰部へのストレスが少ない持ち上げ動作を確立するために,まずこれら2つの持ち上げ動作の生体負担度を筋電図ならびに関節トルクから評価し,両動作の特徴を明らかにすることを目的とした. この実験に参加した被検者は,健常な男性3名であった.各被検者は,2種類の持ち上げ動作(BL,LL)を2つの重量条件(10kg,20kg),ならびに2種類の持ち上げ速度(通常,早い)を組み合わせた全ての条件で持ち上げ動作を行った.試行の順番はそれぞれの被検者で異なるように無作為に選んだ.すべての動作は,フォースプレート上で行われ,同時に各動作は,高速ビデオカメラを用いて60Hzの速度で撮影された.ビデオならびに床反力データをもとに,運動方程式をたて足関節,膝関節,股関節に作用した関節トルクを計算した.また,下肢主要筋群から双極誘導法により筋電図を記録した. 得られた結果から,以下のことが明らかとなった. 1)同一条件下における足・股関節トルク発揮は,BLとLLでほぼ近似していた.BLの膝関節トルクはいずれの条件でも屈曲に働いていた.2)いずれの関節トルクとも,重量条件よりは動作速度条件によって強く影響される傾向にあった.3)BLでは膝関節伸展筋群(内側広筋,大腿直筋)がほとんど活動せず,下肢裏側にあるハムストリングス(大腿二頭筋,半腱様筋)ならびに足底屈筋(腓腹筋)の強い筋電活動が示された.一方,LLは下肢筋群全体の筋放電量も少なく,すべての筋群が活動した.4)LLでは,拮抗する筋群の同時収縮を行わせることで,二関節筋の腱作用を利用した持ち上げ動作が可能となる.
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