1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780045
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柳原 大 理化学研究所, 記憶学習機構研究チーム, 研究員 (90252725)
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Keywords | 歩行 / 小脳 / 運動学習 |
Research Abstract |
小脳の神経回路において、プルキンエ細胞は平行線維と、下オリーブ核からの登上線維とを介して興奮性のシナプス入力を受ける。この二つの入力が同期して起きた時、平行線維・プルキン工細胞間のシナブスの伝達効率が長期間低下する長期抑圧が生じ、これが運動学習の細胞レベルでの基礎過程として考えられている。ところで、小脳長期抑圧の発現においては、プルキンエ細胞内のタンパクの燐酸化が必要とされると予想されている。小脳運動学習に伴ったプルキンエ細胞の燐酸化をantiphosphoserineのモノクローナル抗体を用いて標識することにより、その運動学習との関係を推測させるブルキンエ細胞を検出・マッピングすることができる。そこで、ネコの外乱歩行と外乱を加えない歩行の後で、動物を還流固定し、免疫組織化学を行った。結果として、外乱を加えない通常の歩行後においては、標識された細胞は非常に少数であったが、外乱歩行の後では小脳虫部・中間部の第IV、V葉に標識された細胞が多数認められた。 antiphosphoserineのモノクローナル抗体によるプルキンエ細胞の標識は細胞体部のみならず樹状突起部においても認められた。 プルキンエ細胞内のタンパクの燐酸化として、最も可能性の高いタンパクはグルタミン酸受容体の燐酸化である。実際、グルタミン酸受容体の燐酸化部位は、最近我々の研究室において詳しく調べられ、グルタミン酸受容体のサブタイプGluR2の696番のセリン残基の燐酸化と長期抑圧との関係が予測されている。そこで、この696番のセリン残基の燐酸化を特異的に標識するモノクローナル抗体を作成し、in vivoの麻酔下のネコ小脳において、平行線維と下オリーブ核の連合刺激を行い、長期抑圧を誘導し、環流固定後、免疫組織化学法により、燐酸化を調べた。その結果、連合刺激後にブルキンエ細胞の樹状突起部に燐酸化反応が検出された。今後は、この燐酸化反応のタイムコースならびに運動学習との関連について調べる予定である。
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