1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780056
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
作野 広和 島根大学, 教育学部, 講師 (50284146)
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Keywords | 過疎地域 / 農山村地域 / 低次中心地 / GIS |
Research Abstract |
本年度は全国における低次中心地の分布と盛衰の客観的把握を行った。研究によって得られた新たな知見は以下の通りである。 1. 国内外における農山村地域・過疎地域に関する研究動向の把握 近年の農山村地域・過疎地域は社会・経済的に都市の支配下にあるばかりか,世界的な都市を中心とした核心地域へ従属する傾向にある。この結果,従来の過疎地域における低次中心地が果たす役割が喪失し,社会・経済的地位が他の過疎地域と同等になりつつあることが明らかとなった。 2. 国内における低次中心地の設定と基本統計による動向把握 通勤・通学流動から市町村を単位として低次中心地の設定作業を行った結果,国内には約500の低次中心地が存在していることが明らかとなった。これらの低次中心地は経済的中心地であるばかりでなく行政的中心地としての機能が高い傾向にあった。低次中心地の盛衰は1970年以降の工業化への対応に左右される傾向にあることも明らかとなった。 3. 島根県における低次中心地を中心とした集落システムの実態把握と地図化 デジタルデータの地形図とGISソフトを用い,低次中心地周辺における集落の社会・経済的データを地図上に示し,集落システムの実態把握に努めた。この結果,低次中心地から遠距離にある集落では人口減少が著しく,依然として過疎化傾向にあることが認められた。 以上の結果から,マクロレベルでは農山村地域・過疎地域が中心地域へ徐々に従属していく中で,低次中心地の機能喪失がすすんでいることが指摘できた。一方で,ミクロレベルでは伝統的に経済的,政治的集積を有する低次中心地の存在意義は依然として大きく,集落システムからみた場合の結節点として作用していることが明らかとなった。
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