公営住宅の建て替えによるコミュニティへの影響に関する研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10780057
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 由井 義通 広島大学, 教育学部, 助教授 (80243525)
• Keywords: 公営住宅 / ハウジング / 住宅更新 / コミュニティ / 都市地理学 / 東京都

Research Abstract

本研究は,インナーシティーにおいて老朽化したり,建物を更新した公営住宅の類型別に居住者の感想や住居・居住地に対する「思い」(愛着など)のほか移動経歴やコミュニティ活動などを通してみた住民の人間関係や地域社会の変容等について聞き取り調査により明らかにすることである.
上記の目的のために,平成10年夏期から秋期に,研究対象地域における公営住宅の供給と住宅更新事業の実績,住宅配置などについて行政側の資料収集や自治体担当者からの聞き取り調査により把握を試みた.特に東京都に関しては,最新の『東京都営住宅一覧』を寄贈していただき,東京都内の都営住宅の建て替えに関する建築年次,戸数の増減,間取り,設備などに関するデータベースを作成した.このデータベースと1995年国勢調査の統計資料をもとに公営住宅の立地する地域特性について社会的・地域的背景の解釈を行っている.
次に,既に分析した対象地域の公営住宅居住者の年齢と世帯人員構成以外に,産業(中分類)別就業人口構成などの社会経済的属性の変化を加えた公営住宅の分類を行った.そのために,1980・1990年国勢調査の調査区・基本単位区別集計データについてMOディスク形式で追加して購入し,購入したパソコンを用いて居住者構成の変化に関するデータベースを作成した.当初は,大阪市内の公営住宅で試験的に聞き取り調査を行う予定であったが,公営住宅の更新に関するデータベースが膨大となったため,東京都内だけで聞き取り調査の依頼のみとなった.しかし,データベースから絞り込んだ研究対象候補の都営住宅自治会の代表者からは,アンケート調査の協力に関して快い回答を得ることができなかったので,平成11年度に別の都営住宅に変更してアンケート調査を行う予定である.