1998 Fiscal Year Annual Research Report
博物館における地域表象とローカル・アイデンティティ形成に関する研究
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10780059
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
福田 珠巳 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (80285311)
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Keywords | 博物館 / 地域表象 / 郷土 / 一宮市 / メディア / コミュニケーション / 自己表象 / 表象 |
Research Abstract |
博物館における地域表象について、次の3つの視点から研究を進めた。 (1) 自己表象とポリティクス 博物館あるいは地域表象に関する文献を、収集・整理・検討した。今年度は日本国内においても博物館に関する新刊書がいくつも発行されたが、多くの研究においては博物館という機構それ自体を問い直す、という視点が見られない。一方、英語圏における博物館研究、あるいはヘリテージや歴史を扱った文化・社会地理学研究をみると、表象のポリティクスに対するアプローチが定着していることがよく認識される。 (2) 郷土博物館・地域博物館に関する歴史的考察 戦後、日本において地域博物館が急増する中で、地域と博物館、あるいは学校教育における地域学習と博物館との連携をもとめることが盛んに議論された。これらの問題は、すでに戦前において議論が始められているものである。そういった意味から、戦前の郷土教育や学校内に設置された郷土室、あるいは地域博物館について、棚橋源太郎に小田内通敏に焦点をあてつつ、当時の議論を文献や雑誌記事などから整理しはじめた。 (3) 事例を通した考察 実際の調査を行う上で、博物館というメディアの持つ特殊性、すなわち、コミュニケーションの場としての特徴に着目した。まず、予備的に豊岡市コウノトリエコミュージアムにおけるホストの語りを記録することからはじめた。さらに、一宮市博物館を対象とし、2月に集中的に展示室における参与観察を行った。具体的には企画展「くらしの道具」のなかで様々な技を実演し来館者に昔の暮らしを語る人々と、来館者の様子をビデオ等に記録した。このデータの分析については、来年度着手する。
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